※相談事例は全てご相談者さまの了承を得て記事化しております。
中目黒の保証人さまから転居相談
今回も転居相談となります。
ご依頼を頂いたのは中目黒にお住いの保証人さまからでした。
介護付き有料老人ホームにご入居中のお父さまが車いすから転落する事故により大けがをされてしまいました。
それまでにも不可解な事故連絡があり施設に疑問を持たれていた保証人さまは、今回の転落事故を受けて転居を決意されました。
転居先の施設に期待することはスキルを持った介護士による安全な生活が出来る施設でした。
今回のケースは、老人ホームに入ったので安心とはならず、年月の経過や利用者さまのADLにより施設のケア方針が変わってしまうことがあるという残念なケースとなります。
お父さまに起きた数々の事故
保証人さまから会って相談をしたいということで渋谷にある相談室でヒアリングを行いました。
相談室については相談室一覧をご確認願います。
保証人さまは施設の事故報告に関して疑念を持たれていました。
その施設はいわゆる大手と呼ばれる老人ホーム会社で名前を聞けば誰でもわかる会社でした。
そのネームバリューに安心した保証人さまはお父さまのご入居を決意しました。
入居当初、保証人さまは施設の職員の対応も良く、施設長も好感が持てる人物で安心してお父さまを預けることが出来ると喜んでいたそうです。
しかし1年ほどしてお父さまのADLが低下し日常生活のほとんどにおいて介助が必要になったころから少し状況が変わってきたそうです。
最初気になった事故連絡はお父さまに他人のお薬を飲ませてしまった薬事故に関する物でした。
介護士がお父さまと同じテーブルで食事をしている利用者さまのお薬を誤ってお父さまに服薬してしまったことが報告されました。
幸いにも薬による影響はなくお父さまが身体を害されることはありませんでしたが保証人さまはなぜそのようなことがおこったのか不思議だったそうです。
施設側は投薬方法に間違いがあった可能性があるため対策をしました、と説明したそうですが根本的になぜ他人の薬を間違ってお父さまに飲ませてしまったのかについての明確な説明はありませんでした。
対策を取ったこと、お父さまに大事は無かったということばかり強調されて説明されていたそうです。
介護士も人間ですからたまには間違うこともあるだろうとその時は大事にせず施設に注意をするだけでした。
その1週間後、今後はお父さまがベッドから転落したとの連絡が入りました。
お父さまはなぜベッドから転落したのか?
施設の説明では、オムツがかゆくなってお父さまがかゆみを和らげようとご自身で身体を動かした結果、ベッドから転落したという報告でした。
入居前に6年ほど在宅介護をされていた時からお父さまは寝返りをうったことはありませんでした。
そのようなお父さまがオムツのムレが痒いからとご自身で寝返りを打つとは考えられないと保証人さまは考えておられました。
そのことを施設に尋ねると、夜勤に再度確認しますと言ってはくれましたがその後、確認内容を報告することは無かったそうです。
不審に思った保証人さまは施設長に対して、報告が無いのはなぜか?と尋ねると施設長は前回の報告通りでありベッドから転落したのはお父さまご自身によるものだ、との主張を繰りかえし前回の報告と同じなので報告しませんでした、と言ったそうです。
同じ結論であっても連絡をするのが当然の義務ではないか、と施設長に言い寄ると、謝罪するばかりだったそうです。
この2つの事故から施設に対して不信感を持たれた保証人さまは面会頻度を増やしてお父さまの状況を確認されていたそうです。
お父さまは認知症が進行しておりご自身の気持ちを言葉にして説明することが出来ません。
言葉による意思疎通は出来ません。
しかし、居室の状態やお父さまを見ることで何かがわかるかもしれない、という想いがあったそうです。
2つの事故があってから1か月後の早朝、施設から保証人さまに電話が掛かりました。
お父さまが車いすから転落し顔に大けがをして緊急搬送することになったというものでした。
受け入れ先の病院まで来てほしいということでした。
保証人さまは慌ててその日の仕事を休み、病院に駆けつけました。
病院ではCT検査などいくつかの検査を行ったそうです。
検査により現状、脳にダメージは無いと診断されましたが、頭を打っているためしばらくの間は様子見ということになりました。
施設長から転落の原因を伺うと、朝食に向かうためベッドから車いすに移乗したお父さまを居室に置いて、排泄した汚物を汚物室に捨てに行って戻ってきたところお父さまが転落していたということでした。
施設側の見解としてはお父さまが車いす移乗時につかっているひざ掛けが落ちてしまいそれを拾おうとお父さまが床に手を伸ばした結果、バランスを崩して車いすから転落したということでした。
一見すると納得できるような説明ですが、それにしては怪我の度合いがひど過ぎると思われたそうです。
保証人さまは、説明と事実が違うのではないか?と疑いの目を持たれていました。
インターネットを調べていくと老人ホームの問題として「不適切なケア」があることを知りました。
そこで施設がこれまでに行ってきたケアが不適切なケアに当たるのではないかと思われたそうです。
保証人さまが確信した不適切なケア
お父さまは入居当初は杖歩行でした。
つまりご自身の足で歩くことが出来たのです。
1年ほどして歩行不安定になってきたので歩行器の購入を勧められ歩行器を購入していました。
購入から1か月後、施設から再度連絡があり、歩行器でも不安定なので車いすに変更したいという連絡が来ていました。
施設が言うのだから間違いないだろうと車いすをレンタルすることに同意しました。
しかし、そんなに急に足腰が弱くなるものなのか?と疑問を持たれた保証人さまはお父さまに面会に行かれました。
居室で面会しているとお父さまは車いすから立ち上がろうとします。
そこで以前に使っていた杖を持たせると立ち上がり、ふらふらしているとはいえご自身の足で歩くことが出来ていました。
時折、足元がもたつくため保証人さまが手と腕を握りサポートするとトイレまで歩かれたそうです。
これを見た保証人さまはお父さまがご自身の足で歩けるし、トイレにも行けるのではないかと思っていました。
保証人さまは施設が転倒するリスクを避けるため、車いす移動にしたのは不適切なケアではないかと確信されたそうです。
そのようなことがあってからの車いす転倒でした。
安心できる老人ホームを探してほしい
保証人さまからのヒアリングを受けて老人ホームの嫌な側面が出てしまったと感じました。
老人ホームには常に更新される認知症ケア理念や最新の介護技術に対して講習を行い介護サービスを向上する企業努力を怠らない施設もあれば、旧態依然としたケアを変えることが出来ない施設もあります。
もちろん旧態依然としたケアが良いはずもないことは施設も理解しており最新のケアに対応するよう努力をしています。
しかし、人員不足や発言権の強い介護士が現場を取り仕切ってしまうなどの理由によりケアが改善できない施設も存在します。
今回の施設も何かしらの理由があると感じました。
だからといって昔流のケアを行って良いということではありません。
なぜなら過去の介護方法は現代において「虐待」と判断され絶対に行ってはならない場合があるからです。
残念ですがケアが改善できないという施設にいくら文句を言っても改善される可能性は低いのが実情です。
そのような老人ホームは今回の保証人さまに限らず過去に多くの利用者さまが同じような改善要求をしていることが予想されるからです。
それでも変わらないのは「変えられない」からなのです。
それならばしっかりとしたケアを行っている施設に転居するほうが利用者さまにとって良いのです。
ご相談を受けてお父さまのADLや施設探しに関する必須、充分条件を伺いました。
【お父さま:**歳】
食事:きざみ食
歩行:車いす?
排泄:全介助
更衣:全介助
義歯:上
認知症:アリ(アルツハイマー型)
介護度:要介護2
介護度はお父さまが入居したときのもので現在はもう少し介護度が高いと思われます。
次に希望される施設条件についてお伺いいたしました。
◆必須条件
・一時入居金:500万円以内
・月額利用料:30万円以下
・看取り対応
・責任感を持っている施設
・利用者さま目線を忘れていないこと
◆充分条件
・報連相がしっかりしている常識的な施設
保証人さまからいただいた必須条件で特に大事なことは「責任感を持っている施設」と「利用者さま目線を忘れていないこと」です。
転居を決意された保証人さまは老人ホームに強い不信感を抱いております。
特に歩くことが出来るお父さまを施設都合で車いす移動としたことについて不満を抱いておりました。
お話を伺う限り、歩くことが出来るお父さまを車いす移動に変更した点については介護保険基礎理念である自立支援から逸脱していると言えなくはありません。
施設探しをスタートし選別する際もその点を最重要視してリストアップを行いました。
施設のリストアップが完了し保証人さまにリストをご提出すると2つの施設について見学依頼を頂くことが出来ました。
どちらの施設も退職率が低くスタッフの定着率が良い施設でした。
つまりベテランのスタッフが多くご入居者さまとしっかりとした関係値を築いていると推測できます。
見学を終えて
2つの施設の見学を終えてから数日が経過しました。
保証人さまからお電話を頂き、最初に見た施設への転居を希望する旨のご報告を頂きました。
見学した施設やその内容については記事にしてほしくないということでしたので割愛いたしますが、施設決定の理由については記事化の承諾を頂きましたので下記いたします。
・食事がおいしそうだった
・スタッフ間の連携がしっかりしていると思えた
・施設が利用者目線を持って仕事していると思えた
・ここなら前のようなことにはならないと思えた
転居先の施設長にご連絡をし契約手続きをおこない転居日が確定しました。
転居後1か月のご様子伺いにて
無事に転居が完了すると、入居相談員としてほぼすべての作業が終了します。
転居してから1か月ほどして保証人さまに現状のご様子を伺うためご連絡をいたしました。
すると保証人さまからいくつかのご感想を頂くことが出来ました。
保証人さま「今の段階で不満に思うところはありません。懸念していた歩行についても不安はあるにせよ、父が歩けることを考慮し杖歩きで介護士さんが歩行サポートしてくれています。やっぱり父は歩けたんですね。」
保証人さま「それと、オムツではなくリハビリパンツ生活しトイレに案内してくれています。」
保証人さま「それとこれは私から質問したんですが、父は寝ている時に寝返りを打つことはほとんどないそうです。やっぱり前の施設は事実と違うことを報告したと改めて確信しました。在宅で寝返りをうつ父を見たことが無いのでやっぱりと思いました。」
保証人さま「まだ1か月だし父がもう少し弱ってしまったら介護方針がかわって前のようになってしまう不安はありますが今は満足しています。ありがとうございました。」
お話を伺って施設が自立支援についてしっかりと理解し実行していることが分かりましたので今回のケースをクローズといたしました。
改善よりも転居を選ぶケースが増えるわけ
今回のケースは施設都合によるケアに対して転居を選択されたケースになります。
昨今、ご入居している施設に対する不満から転居を決意されたご家族さまからのご相談が増えています。
果たして保証人さまが選んだ最初の施設は失敗した老人ホーム選びだったのでしょうか?
誤解が無いようにお伝えするとすべての老人ホームが今回のように施設都合によるケアというわけではありません。
現代介護の理念は「自立支援」です。
自立支援とは自分でできることは自分で行い、必要なことだけを介護士がサポートすることです。
しかしそれは、利用者さまの行動に合わせる必要があるため施設側でケアをコントロールすることが難しくなることを意味します。
私が介護士時代に勤めていたある施設では今ほど自立支援が浸透していなかった時代でもあったため、ADLが下がってくると施設主導のケアに切り替えていました。
足腰が弱り転倒リスクが高くなるとまだ歩けるにも関わらず事故リスクを軽減するため車いす移乗に切り替えることはザラでした。
排泄については利用者さまが尿意を連絡する時間が不規則になるため定時排泄にして排泄作業を効率化するなども当たり前に行われていました。
※定時排泄とは:強制的に排泄時間を決めてその時間に排泄行為を行うこと。
尿意を察することが出来ないご入居者さまであればその対応は正しいと言えます。
しかし、ご自身でトイレに行きたい、尿意を感じることが出来るご入居者さまに対して定時排泄は自立支援を損なう行為であるだけではなく「虐待」にもなりかねません。
施設は虐待について過敏反応を示します。
しかし現実では、ご家族さまや保証人さまから改善要求を出しても改善されないケースが増えているのは残念でなりません。
昨今、施設に対して不満があるご家族さまは改善要求ではなく転居を選ぶようになってきています。
当社の無料相談においても転居相談が占める割合が年々高まっています。
それに併せて施設の対応やケア方針に関するご相談も増えてきております。
現在、ご入居されている施設について不信感を持たれているご家族さまは以下無料相談までご連絡ください。
お話を伺い、改善の余地のアドバイスがベストなのか転居が良いのかなど個別にアドバイスを行っております。
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