はじめての老人ホーム選び
ここを読まれているほとんどのご家族さま、ご本人さまははじめて老人ホームを探しておられると思います。
はじめてでも失敗しない老人ホーム選びにはいくつかのポイントをおさえる必要があります。
これまで弊社が扱ってきた事例から「失敗しない老人ホームの選び方」についてポイントをまとめました。
失敗しない老人ホーム選びのポイント
失敗しない老人ホームを選ぶためにおさえておくべき6つのポイントを書き出しました。
弊社でこれまでに取り扱いをしてきた多くの事例をまとめて体系化したデータとなりますので参考にしてください。
【1】老人ホームの種類を知る
【2】施設の規模と設備を知る
【3】ご料金
【4】施設見学でみるべきこと
【5】口コミや評判の落とし穴
【6】紹介会社を上手に使う
【7】無料相談のお問合せ
老人ホームの種類を知る
老人ホームといってもたくさんの種類があります。まずは施設の種類を知ることが大切です。
ここでは問い合わせの多い施設に関する特徴を書いておきます。
介護付き有料老人ホーム
要介護度が低く自立した方から要介護度が高く排泄や食事などで介助が必要なご高齢者さままで幅広くご入居しています。
介護士が日常生活を送るための支援を包括的に行っております。(身体的介護)
医療ケアが恒常的に必要な場合は24時間看護師が在籍している施設などを選択することも可能です。
最大の特徴は様々な形態の法人が参入しているため付加価値を高めるための企業努力により、高品質のサービスを提供しております。
現在、ほとんどの介護付き有料老人ホームでは個室であり居室にトイレが備えつけられています。また、施設によってはお風呂も居室にあります。
その分、料金は割高になります。
住宅型老人ホーム
高齢者の自立を支援することを目的としているため基本的には要介護度の低い高齢者が利用する施設となります。
外部の介護サービスを自由に組み合わせることができるので、ご自身に合った生活を送ることができるメリットがあります。
身体介護などがオプションになっていたり、要介護度が上がる、認知症を発症するなどにより転居相談となることがあります。
訪問看護などの医療的なケアを充実させるためあえて特定施設にしない営業形態をとっている老人ホームもあります。
グループホーム
小規模な施設でアットホームな雰囲気を持っています。認知症を発症している高齢者を対象としている施設となるため以下の条件を満たしている必要があります。
・ご入居者さまの年齢が65歳以上であること
・要支援1または要介護1以上の認知症を発症しているご高齢者さま
・ご入居を検討している施設の所在地内にご入居者さままたは、ご家族さまが住んでおり住民登録されていること
少人数で共同生活を行うことにより、認知症の進行を遅らせることを目的としていますが、必ずしもご家族さまが期待するような生活状況にならないケースもあります。
看取りまでのご入居が可能なホームも増えてきております。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
規制緩和により株式会社でも運営が可能になったためこの10年で広く知られるようになった新しいタイプの高齢者施設です。
特徴としては、ご高齢者さまの自立を支援することを目的としているため基本的には要介護度の低い高齢者が利用する施設となります。
例えば遠方に住んでいる独居の高齢者さまが心配で近くに住んでもらいたい、というご家族さまのニーズが多い施設です。
自立を目的としているため身体介護などはオプションになっていたり、要介護度が上がる、認知症を発症するなどにより介護付き有料老人ホームや特養などに転居することがあります。
また介護ビジネスに携わって日の浅い業者などによっては営利目的になってしまい満足なサービスレベルに達していないことからトラブルに発生するケースも増えてきています。
特別養護老人ホーム(特養)
基本的に要介護3以上がご入居の条件となり身体介護、精神的なケアなどを行っています。
特徴としては自宅での生活が困難なご高齢者さまを対象とし、営利目的ではなく社会貢献を目的としていることから安い料金でご入居できることです。
以前は多床室が多かったのですが最近の特養はユニット型個室が主流になってきております。
費用はご入居希望者様の所得により決定されるため、介護付き有料老人ホームに比べると利用料を低く抑えることができます。
ただし、要介護度が高いご入居者さまが多いため流れ作業的な介護になったり、昭和的なケアになりがちなこともあります。
施設の規模と設備を知る
老人ホームの規模や設備には大きな差があります。ご家族さまやご入居者さまの希望に合った施設を選ぶために施設に何を求めているのかを明確にすることが大切です。
たとえばお部屋の広さ、バリアフリーなど設備の充実度はパンフレットなどで簡単に調べることが出来ますがお部屋の広さとはどれくらいが妥当なのか?などの疑問も出てくると思います。
弊社でこれまでに取り扱った事例から一般的にご家族さまが求めてらっしゃるご希望についてご紹介します。
施設の規模
中堅施設(ご入居者さまが40人以下の中堅施設)を希望されるケースが多いです。
現在、特養や介護付き有料老人ホームは大型施設に移行する傾向が強くなっています。これは深刻な介護士不足が根幹にあるのですが、管理がしやすいという介護施設側の視点もあります。
大型施設(ご入居者さまが50人以上)のメリットはいろいろな設備をそろえられることになります。
例えばカラオケルームがあったり、たくさんの共有部を持つことでご入居者さま同士の交流を多くすることが出来ます。
しかし反面、交流が苦手なご入居者さまにとっては人がたくさんいすぎて緊張してしまったり、苦手意識から居室にこもってしまうなどのデメリットがあるのです。
苦手意識は帰宅願望に直結しますから施設選びにおいて規模はとても大きな要因となり得ます。
施設の設備
昨今では介護付き有料老人ホームを中心に設備に力を入れる施設が増えてきています。
しかしここでも考えることはたくさんあります。
例えば、温泉を引いていることをウリにしている施設や高価な家具などをそろえてホテルのようなぜいたくな暮らしをウリにする施設もあります。
しかしこれらはすでに前時代的になってきていることを知ってください。
高齢者に限らず日々の生活を送る上で高価な家具や温泉は重要ではないのです。
大事なことは生活するご入居者さまがすこやかに日々の暮らしを送れることなのです。
カラオケが好きなご入居者さまであればカラオケ設備を持っている施設は大きなメリットになりますが歌うことが嫌いなご入居者さまにとっては、アクティビティでカラオケにお声がけされることほど苦痛になることは無いのです。
それよりもトイレが清潔であるか、バリアフリーで使いやすい設備になっているかなどを中心に選ぶことが大切です。
料金の仕組みを知る
ご料金については特に慎重に考える必要があります。
お金に関する失敗は老人ホーム選びにおいてトップ3に入るほどご家族さまが誤解してしまうポイントになります。
パンフレットに記載されている料金で全てが賄えると思うことは大きな誤解を生みます。
一時入居金
昨今では入居金無料という施設が増えてきておりますし、キャンペーン中であればご入居金無料を打ち出す施設も増えてきております。
ご入居金無料は今後さらに一般的になると思われます。
ご入居金は敷金と考えるとわかりやすいかと思います。
誤解がないように補足すると、施設建物の利用権を購入する費用となります。
例えば何らかの理由で転居するような事態になった場合、一時入居金を保証金と勘違いし全額戻ると考えるご家族さまも多くトラブルの原因になる場合があります。
しかし1日でも施設で過ごせば一時入居金が全額戻ることはまずありません。
賃貸マンションと同じで転居する際に敷金が全額戻ることが無いのと一緒です。
またご入居者さまがお亡くなりになった場合もご入居金が戻ることは滅多にありません。
老人ホームごとに契約形態が異なるため、施設利用の説明時に営業担当者としっかり確認してください。
月額費用
毎月の月額費用はパンフレットで調べることが出来ます。
しかしほとんどの施設においてパンフレットに書かれている金額で収まることはありません。
まず確認するべきことは月額費用に含まれているサービスです。
こんな例がありました。
例)他社と同じようなサービスをしている施設で月額利用料が安かったためご入居を決定したが、初月の請求書を確認して金額があまりにも異なっているため困惑したケースがありました。
この施設では水道光熱費などが月額費用とは別途になっていたことが原因でした。
ご家族さまからすればご入居相談時にしっかりと説明してい欲しい、と思われるかもしれません。
しかし、施設側の営業担当者にとってはご入居していただくことが何より大切なことと思うかもしれません。
施設側とご家族さまにおいてご料金は思惑が正反対になることがあります。
また、身体介護を行う場合に気を付けておかなければならないのはオムツやパッド、リハビリパンツといった消耗品は月額費用に含まれていないため別途請求書に上乗せされる点です。
日々使うオムツやパッド、リハビリパンツなどは月額にすると結構な金額となります。
また身体能力の低下により、居室内にポールなどを設置する場合などもレンタル費がかかったり、車いすなどが必要になるとその分の費用がかかってきます。
月額費用×10%~30%を基本に
明確な数字というのはありませんが弊社で費用のご相談時にご家族さまにお話しする時には、ギリギリの月額費用ではなく余裕を持った予算作りをするように強くご説明をしております。
特に身体介護が必要な場合などは費用がかさむからです。
今は布パンツで問題ないご入居者さまも失禁が続いたりすると施設からオムツやリハビリパンツの利用を提案されます。
当然ですがこうした消耗品の利用は月額費用とは別に請求書に記載されます。
また車いすによる生活になればレンタル費または買取で車いすを用意しなくてはならなくなります。
費用はかさむことになります。
老人ホームでの生活において、ご入居当時よりも費用が下がることは現実的にあり得ないのです。
ADLが下がれば身体介助が必要になってきます。
それは別途費用がかかること、を意味するのです。
そのため弊社ではご家族さまからご予算を伺う場合、こうしたADLの低下による身体介護の可能性を考慮して老人ホーム選びをするようにご説明しております。