【目黒区】運転を続ける高齢の母が安全に暮らすために呼び寄せ、ホーム入居を判断
- 小野寺 柚月

- 12 分前
- 読了時間: 8分

※相談事例は全てご相談者さまの了承を得て記事化しております。
遠方での一人暮らしの母とその環境に限界を感じて
昨今、テレビでは高齢者の自動車事故がこれでもか、というほどに報道されています。
もはや高齢者の自動車運転に対する対策は待ったなしだと思います。
そんな時、目黒区目黒にお住まいの娘さまより、
「福井で一人暮らしをしている母の運転が心配でなんとか免許を返納させたい」
というご相談をいただきました。
タイムリーなだけではなく、同様の入居相談はすごい
お母さま(81歳)は、長年、福井県の自然に囲まれた静かな町で暮らしてこられました。
ご近所付き合いもあり、畑を手入れしたり、散歩をしたりと穏やかな毎日を過ごされてます。
しかし、その生活を支えていたのは「車の運転」でした。
スーパーや病院、郵便局など、どこへ行くにも車が必要な地域で、運転免許はまさに“生活の要”。
娘さまも、
「母から車を取ったら何もできなくなる」
と、以前から心配していたと話されていました。
ところが最近、車庫入れの際に壁へぶつけてしまった!とか、
ご実家に戻られたときにお母さまの運転する車にのると、おかあさまがうっかり信号を見落としてヒヤッとしたという出来事が続いたそうです。
いつかテレビにのるような大きな事故を起こしてしまうのではないかと、心配された娘さまは何度も、免許の返納を勧めたところ、お母さまは、
「車がないと暮らせないでしょ!どうしろっていうのよ!」
「もう少しだけ大丈夫だから。まだ大丈夫だから」
と強く抵抗。
それでも娘さまは、「いつ事故が起きてもおかしくない」と感じ、ついにお母さまを目黒の自宅近くへ呼び寄せる決断をされました。
お母さまのご様子とADL(生活動作)
【お母さま:81歳】
食事:普通食(通常食)
歩行:自立
排泄:自立
更衣:自立
義歯:ナシ
認知症:ナシ(記憶力低下はある)
備考:車の運転を辞めてもらいたい
一見すると、自立度の高い印象を受けます。
食事や更衣、排泄もご自身で行えますし、足腰も比較的しっかりされてます。
しかし、娘さまによると、最近になって物忘れが目立つようになり、認知機能の変化が気になるとのこと。
「約束を忘れる」「支払いを重複して行う」「テレビのリモコン操作に戸惑う」など、これまでには見られなかったサインが出始めています。
また、長年慣れ親しんだ地域を離れ、都会での生活に環境変化のストレスも大きいご様子。
いきなり老人ホームに入居ではあまりに可哀そうだということで、娘さまのご自宅に1週間ほどお母さまを呼ばれたそうです。
ただ、目黒にいる間、「どこがどこかわからない」「人が多くて疲れる」と戸惑いを隠せなかったそうです。
目黒区での生活支援を考える:自立を尊重しながらの安心環境づくり
娘さまは、「できる限り母の自立を尊重したい」と話されます。
その一方で、「転倒や徘徊、火の消し忘れなどが起きる前に、早めに安全な環境を整えたい」とも考えられていました。
ここで大事なことは、
安全な環境を整える
ということです。
ご入居相談をいただき、お母さまの現状や娘さまの希望などを伺った後にでてきたこの言葉の真意をしっかりと理解することが今回のポイントです。
今回の件で娘さまがいう、安全な環境とは、お母さまの生活のリスクをできるだけ排除したいと言う意味であり、それを達成するために必要なのは、老人ホームに入居することである、ということです。
目黒区は介護サービスが比較的充実しており、在宅支援と施設入居の中間的な選択肢として、次のような施設が検討対象となります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
→ 生活支援スタッフが常駐し、見守り体制も整っている。比較的自由度が高く、自立した方に適している。
介護付き有料老人ホーム
→ 食事や入浴、服薬管理などを日常的にサポート。今後、認知症の進行や身体機能の低下が見られる場合にも安心。
デイサービス(通所介護)との併用
→ 日中のみ専門スタッフによる見守りや入浴支援を受けることで、在宅介護を継続しやすくなります。 ※ただし、娘さまはお母さまと一緒に長期間暮らすことを考えていませんでした。デイサービスの利用は老人ホーム入居までの暫定利用ということになります。
娘さまは、「すぐに施設へ入るというより、母が安心して生活できる選択肢を少しずつ整えたい」とのご意向でした。
入居相談員として施設を探すことも大事ですが、娘さまにはお母さまの要支援・要介護認定の申請を行うことをアドバイスしました。
「認知症かもしれない」と感じたら。早めの専門相談を
これまでに扱ったケースから、私個人としては、高齢の親御さまが運転を続けている場合、「まだ大丈夫」と言われても、すべてを信じるのはするべきではないと思ってます。
なぜなら、運転すること自体を排除されてしまうと生活形式がまるっきりかわってしまうため、ご本人さまは運転免許の返納など通常であれば応じないからです。
そのため、自分だ大丈夫!、生活できなくなるのになんでそんなことをいうんだ!といった反論にしかならないんです。
また、事故リスクの裏に認知症の初期症状が隠れているケースもあります。
記憶力や判断力の低下、慣れた道での迷子、信号判断の遅れなどは、早期発見のサインです。
お母さまのように、「まだ運転できる」「車がないと困る」と考える方は多いものの、そのまま生活を続けると取り返しのつかない事故につながるおそれがあります。
娘さまのように、「心配だから車が無くても生活できる環境に移住してもらう」という判断は非常に勇気のある決断なんです。
同時に、早期に専門医(もの忘れ外来など)を受診し、必要に応じて介護認定を受けることで、地域のサポート体制を活用しやすくなります。
目黒区内にも、認知症サポート医や相談員が常駐する支援拠点が複数あり、家族単独で抱え込まずに相談できる環境が整っています。
呼び寄せと施設検討のポイント
娘さまは現在、ご自宅のある目黒から公共交通機関をつかって30分以内にある、ホームを候補とされました。
さらに、施設見学時には、次のような点を重視されているとのことです。
・医療的サポート(誤嚥・転倒などの緊急対応ができるか) >介護付き有料老人ホームなどであれば介護スタッフさんが気を付けてくれるので問題なし。住宅型などだと少しきをつけるべき。
・認知症への理解とケア体制
>施設であればとくに神経質に考える必要なし
・食事の形態変更(将来的なやわらか食対応など)
>たいていの施設であれば柔軟に対応してくれる
・入居後も自由に外出できる柔軟性 >現在、お母さまは認知症ではないので問題はなさそうですが、認知症認定されると難しくなることが予想されます。
お母さまはまだ比較的お元気な状態ですが、「今は元気でも、急に支援が必要になる」というのが高齢期の特徴です。
自立した生活を続けつつ、必要なサポートを無理なく受けられる環境と状況の変化を緩やかにお母さまに伝え、理解してもらうことが、安全な環境作りにつながります。
親の「大丈夫」は信じすぎない勇気を
長年暮らした土地を離れることは、高齢者にとって大きな決断です。
しかし、「安心して過ごしてほしい」という家族の想いを実現するためには、時に環境を変える勇気も必要です。
お母さまのように、「運転をやめる」「一人暮らしを終える」といった節目は、これからの人生をどう支えていくかを考える大切なタイミング。
自然豊かな地方から都会のど真ん中だる目黒にくるだけでストレスになってしまいます。
それでも呼び寄せを決断したのは、都内であれば自動車を運転する必要は無いし、家族とお母さまの距離的連携が容易になるからです。
それは、娘さまにとっての安全な環境であり、お母さまにとっても危険リスクの少ない生活設計なのです。
今回の件、お母さまは娘さまからのよびよせにより目黒の施設に入居をしました。
当初はかなり強い帰宅願望があり、毎日荷物をまとめて事務所にバッグをいくつも積み上げると言った行動があったそうです。
でも、2か月ほどすると荷造りをする行動も毎日から週に1回程度になるなど改善が見られたそうです。
当初、自由外出が可能ではあったのですが、近くのコンビニに買い物に行ったきり行方不明になるといった事故が2回続いたため、今は自由外出NGになってしまったそうです。
それでも介護スタッフさんと一緒にコンビニにいくことが大好きで楽しみにしているらしいです。
高齢者の自動車運転については、単純にヤメロ!とは言えないと思います。
車が無ければ生活できない土地はまだまだたくさんあるからです。
そして、高齢者の自動車事故の報道が多くなると、免許返納とあわせた呼び寄せ、老人ホームへのご入居相談が増えています。
当社では呼び寄せなどについてもたくさんの過去事例があります。
ご相談はいかなる場合においても費用が発生することはございません。
気になる方は以下よりご相談いただければ幸いです。



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