※相談事例は全てご相談者さまの了承を得て記事化しております。
西蒲田に住むお父さまを特養に入れたい
蒲田にお住いのご家族さまから当社の無料相談宛てに連絡が入りました。
西蒲田に住んでいるお父さまを特養(特別養護老人ホーム)に入れてあげたい、というご家族さまは大田区にある特養に申し込みを行っていました。
大田区は世田谷区に次いで介護施設が多い区で特養もたくさんあります。
ただ順番待ちになっている特養もたくさんあります。
ご家族さまは特養=順番待ちというイメージがあったためとりあえず、わかる限りの特養に入所申込書を提出していました。
ご家族さまは、とりあえず大田区蒲田付近にあるすべての特養に申し込みだけしておいて本命である、蒲田の自宅近くにある特養から連絡が来るより先に他の施設から連絡が来たら、回答留保をして保険にすればよいと考えていたそうです。
そこに大誤算がありました。
特養への申込で注意すべきこと
申込後1年が経過したころ、ある特養から入所可能の連絡を受けました。
ご家族さまが連絡を受けた施設を調べてみると建物が古く、ご自宅がある蒲田から遠く離れていて面会などが大変である、などの理由により入所を留保しました。
ご家族さまには入所を希望している特養がありました。
希望する施設からの連絡が来るまでは他の施設は全て回答留保するつもりでいました。
しかし特別養護老人ホームは順番待ちをしている方がたくさんいらっしゃいます。
回答留保をしてもその期間はかなり短いです。
※基本的に回答留保はありません。
入所希望により申し込みをしているわけですから入所可能連絡が届いた時点で手続きになるスピード感です。
結果的に「留保」ではなく「辞退」となりました。
しかしここでご家族さまが想定しなかった事態が発生します。
複数の特養に申し込みを提出し、どれか1つの施設から入所可能連絡を受けた場合、そこが気に入らないとして辞退してしまうと他のすべての申し込みが無効になることを知らなかったのです。
入所を希望していた特養の申し込みも取り下げになってしまったのです。
改めて、申し込みをし直すことになってしまいました。
今回は入所を希望する特養にのみ再申し込みを行っているのですが入所がいつになるかはわかりません。
都内の特養は満床が多く、人気のある施設は100人単位の順番待ちになります。
非常に強い言葉になりますが、期待する特養以外からくる入所連絡を「保留」にして一番希望からの連絡を待つということはできません。
このルールを知り、再申込をしましたが、1年でお父さまのADLが下がってきて、週に4日お父さまの介護をしている娘さまが介護限界になってしまいました。
ご家族さまはお父さまとの同居が難しく、在宅介護はできません。
娘さまもこれ以上、西蒲田のご実家に出向いての介護が出来なくなっています。
そのような事情から有料老人ホーム探しの依頼が入りました。
お父さまは特養の入所申込対象者
再申し込みをしている蒲田のご自宅から近い特養から入所連絡が来るまでの間、別の老人ホームにお願いしたい、というご家族さまの意向を受けてお父さまのADLを確認しました。
【お父さま:84歳】
食事:普通食(通常食)
歩行:一部介助
排泄:全部介助
更衣:全部介助
義歯:なし
認知症:なし
介護度:要介護3
現在、娘さまが週に4日西蒲田のお父さまのご実家に行って歩行、食事、排泄、更衣介助を行っております。
それ以外の日は訪問介護にて介護士がお世話しているということでした。
デイサービスを使ったりもしましたが帰宅願望が強く出てしまうなどから今は訪問介護サービスのみを使っていることもわかりました。
入浴については週に2回、訪問入浴サービスを利用しています。
西蒲田のご実家は古い一軒家で荷物も多く通路を車いすで移動することが出来ません。
通路やお部屋、トイレに手すりを付けるなど対策はしていますが万全ではありません。
訪問介護の介護士から、この半年で急激にお父さまの足腰が弱ってきており手すり歩行もままならない時があることが報告されています。
介護士は手引き歩行でトイレ介助などを行っていますが、このまま足腰が弱るようだとリハビリパンツ+パッドによるトイレ介助ではなく、オムツ+パッドで日中は臥床(ベッドに寝ている状態)にしないと転倒リスクが高まってしまうと報告されています。
いわゆる「寝たきり」になってしまうことをご家族さまは心配されていました。
※臥床とは: 介護用語で「ベッドで寝る」意味で使われます。反対にベッドから立ち上がり活動することを離床と言います。
大田区の特養入所条件
ご存じの方も多いと思いますが特養には入所条件があります。
以前はそこまで厳しくありませんでしたが現在は、厳しい入所条件がありますので大田区の特養に入所希望される方はご確認ください。
◆申込対象者
・大田区住民であること※
・介護が必須であり在宅で介護を受けられない状態
・現在、特別養護老人ホームに入所していないこと
・要介護3以上であること※
※特養には「広域型」「地域密着型」「サポート型」と3種類の形態があります。
地域密着型は住民票住所が必要ですが広域型は住民票所在地である必要はありません。検討されている特養の形態を調べる必要があります。
※要介護2以下でも以下の場合は申込対象です。
1.認知症により在宅生活が困難
2.知的障害、精神障害を伴い在宅生活が困難
3.単身世帯、同居家族が高齢又は病弱などにより家族支援が困難
ここで注意しなければならないのは要介護が高ければ優先的に入所できる、ということではない点です。
施設では優先度評価を行っており特養に入所する必要がより高いと思われる申込者から入所を決定しているのです。
老人ホーム入居の必須・充分条件
今回のケースは、特養への転居が決まっており順番待ちの間に入居する老人ホーム選びとなります。
必須と充分条件は以下となりました。
◆必須条件
・一時入居金:300万円以下
・月額利用料:27万円以下
・すぐに入居できる
・大田区内
◆充分条件
・出来れば蒲田/西蒲田近郊
どのくらいで入所を希望している特養から連絡がくるのか分からないため、費用をできるだけ抑えたいということでした。
人気の度合いにもよりますが都内の人気があると言われている特養の平均順番待ちが約2年との情報を手に入れることができました。
そこで必須条件の提示時にそのことをお伝えし必須条件の金額が算出されています。
お父さまのADLを見る限り介護付き有料老人ホームが妥当であると考えました。
条件に合致する施設の検討を開始しました。
大田区内にある施設ということですが、充分条件には蒲田、西蒲田近郊ともあります。
実は蒲田は多摩川を超えると神奈川県の川崎市になるため一時入居金を安く抑えられる場合があります。
※都内は土地価格が高いため料金が神奈川県よりも高値になってしまいます。
今回は費用重視になるため川崎市も対象と拡大解釈をしてリストを作成しました。
蒲田/西蒲田近郊の老人ホームを見学する
蓮沼駅、蒲田駅、京急蒲田駅を一本の線として考えるとかなりの数の老人ホームが見つかります。
また、大森方面、川崎は国道1号線沿いまで考慮できそうです。
新川崎方面にもいくつか介護付き有料老人ホームがあるのですが距離的に難しいと判断しました。
蒲田近辺の介護付き有料老人ホームのリストからご予算に合う施設のピックアップが始まります。
この辺りにはいわゆる大手から中堅まで幅広く施設があり、入居金0円などの施設もあります。
ただそのような施設は入居率が高く空き部屋が無いことも多かったり、仕事が忙しくなってしまい介護士不足が慢性化している施設(欠けシフト)もあるため注意深く情報を精査する必要がありました。
その中から3つほど見学依頼をいただくことが出来ました。
見学による感想をまとめました。
A施設:中堅介護付き有料老人ホーム
>3施設の中では費用が高いが介護士の対応がかなり良い
>ベテランから若手まで仕事を理解していると思った
>入居者さんに対して優しい態度で接してるのが良かった
B施設:大手介護付き有料老人ホーム
>たくさんの入居者さんがいて楽しそう
>費用が安かったので助かる
>若い介護士の敬語が変、敬語じゃない人もいた
C施設:大手介護付き有料老人ホーム
>費用は納得できるものでした
>介護士が本当に一生懸命働いているのがわかります
>希望する特養に一番近い立地にあるのが良かった
相談員として書き込んだメモを下記しておきます。
A施設:中堅介護付き有料老人ホーム
>介護士から評判の良い施設で常勤の定着率が高いのが特徴。月額利用料は他の2社もよりも高いが一時入居金などを考慮すると2年トータルでは他の2社と差異はない。
B施設:大手介護付き有料老人ホーム
>施設長が変わって施設内雰囲気がガラッと良い方向に変わった。ただ、若手を重宝する傾向は変わらず敬語など見学者が見ると違和感を感じることは以前から指摘されていた。ただ若い介護士が多いため活気があると判断されることもある。一長一短。
C施設:大手介護付き有料老人ホーム
>いわゆる「お局」と言われるスタッフを移動させ職場雰囲気を刷新したことで職場の風通しがよくなり、施設評判が上がってきている。費用面でも空き室が多かったためキャンペーン中でお得感はある。
ご家族が決定した老人ホーム
見学してから3日後、娘さまからメールをいただきました。
そこには今回の見学に関する感想(先ほどの感想は一部抜粋です)と入居を検討している施設名が記載されていました。
今回、娘さまはA施設への入居を決められました。
娘さまから許可を頂きましてA施設を選んだ根拠について一部掲載します。
「A施設はヘルパーさんが入居者さんに接する時に中腰になって車いすとか椅子に座っている入居者さんと同じ目線にしてたんです。皆さん全員です。それは施設の方針だと思いますが素敵なことだと思いました。
それから言葉遣いがとても丁寧でした。
言っていませんでしたが、父は会社で面接や人事評価をしてきた人ですから、敬語とかたち振る舞いについては今も厳しいんです。」
ちなみにメールには他の施設の良いところ、気になるところが書かれていましたが悪口みたいになってしまうので掲載は控えてください、とのことでしたので今回の紙面では公表いたしません。
ご入居の決定から入居までそれほど時間はかかりませんでした。
ご入居に際して
入居日が決定した日に娘さまにいくつかアドバイスを行いましたので参考までに記載しておきます。
・囲碁盤と碁石を居室に持っていく
>お父さまの趣味が詰碁であることから帰宅願望を和らげるのに役立つため
・ポータルブルラジオ
>元介護士の経験上、テレビよりもラジオを好む高齢者は多いです。起床時にラジオを聴くことでその日の生活リズムを作っている方もたくさん見てきました。
・マイカップはNG
>お父さまはコーヒーが好きで西蒲田のご実家では、少し大きめなマイカップを使っていたそうですが、マイカップは持ち込まないようにお伝えしました。
帰宅願望につながるだけではなく、マイカップを見るたびに、もう実家には帰れないのか、という不安を誘発する可能性があるからです。
・お財布には少量のお金
>施設内でお金を使うことはありません。また、施設によっては金銭の持ち込みに制限をしているところもあります。
しかし、元介護士の経験則で話すと、お金を全く持っていないことが自信の損失になっている入居者さまを何人も見てきました。
「俺は少額のお金すら持たせてもらえないんだよ」
「わたしはお財布すら持てないのよ」
お金は「その人自身」と考える方もいます。そのような方にとっては少量のお金を持つことで生きてきた尊厳を守ることにもつながると考えています。
ちょっとしたことですが、こうした小さなことを積み重ねることもまた老人ホームで生活するご入居者さまにとって大切なことなのです。
今回は特養の順番待ちの間だけ有料老人ホームに入居するケースとなりました。
最後になりますが特養への入所を検討される方向けに少し補足説明をしようと思います。
特養入所までのながれ
お申込み
↓
第一次評価
評価は区が行います。申込書の内容を基に優先度評価を行い第二次評価に該当する申込者を決定します。
区から第一次評価の通知が来ます。
↓
第二次評価
各特養が評価を行います。入所の優先度評価を行い評価結果を通知します。
※この通知は入所可能通知ではありません、この通知を入所許可と勘違いされる方が多いので注意です。
↓
入所
特養が性別構成、施設特性、入所希望者の希望などを考慮し、優先順位の高い方から入所者を決定します。
特養入所の注意事項
【1】特養は福祉施設となりますので通常時において医療的ケアが必要な場合、受け入れ側の施設状況により優先順位が高くても入所が難しい場合があります。
【2】複数の特養に入所希望した場合、どれか一つから入所可能連絡を受けた場合、入所希望者都合(本人、ご家族など)により入所を辞退した場合、入所可能連絡を受けた施設以外の特養への申し込みについても無効となります。
今回のご相談者さまは【2】の赤文字箇所について知らなかったことにより特養への入所が遅れてしまいました。
当社では同居、在宅介護が困難なご家族さまからのご相談もたくさんいただきます。
その中には特養への入所を希望しつつも順番待ちが長く、家族介護のプランをどのようにすればよいか迷っているご家族さまもいらっしゃいます。
今回のケースは特養の入所待ちの期間を有料の老人ホームにお願いするというプランとなりました。
過去にも同様のケースを取り扱ったことがあります。
同じような悩みを抱えているご家族さまは【目黒本町】特養の入居待ちの間だけ別の老人ホーム探しの記事も読んでみてください。
在宅介護、家族介護に悩みを抱えているご家族さまは年々、増えているような気がします。
老人ホーム探しについてご検討されている方は以下、無料相談フォームよりお問合せください。
尚、ご利用に際していかなる場合においても費用が発生することはございませんので安心してお問合せください。
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