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【新代田】在宅ワーク普及に伴い介護が困難となり同居が不成立となる理由

更新日:4月22日



在宅ワーク普及に伴い介護が困難となり同居が不成立となる理由

コロナ禍で在宅ワークになった方も多いかと思います。


子世代のワーキングスタイルが変わったことにより、介護のサービス利用そのものを変更した家族も多いのではないでしょうか?


例えば、自分が家にいるのだから、仕事をしながら合間に親の面倒を見れるでしょう・・・と。


実際に、デイサービスの利用日数を減らしたり、訪問介護の利用を減らしたりというご家族もいらっしゃれば、認知症の親がいては仕事にならないとデイサービスを限界まで利用されるご家族もいらっしゃいます。


今回は、在宅ワークで壊れてしまったご家族の一例をご紹介します。

在宅ワーク中は介護サービスを使わないでいいよね


「在宅ワーク中は自分が家にいるから、必要な介護は自分がすればいいよね。その分、介護サービスを減らせば利用料の負担も減るし一石二鳥ですね!」


このような考え方を持たれているご家族が結構いらっしゃいました。

知り合いのデイサービスの管理者は日々の利用者の減少に肩を落としていました。

世田谷区新代田にお住まいのAさん(49歳女性)は、頑張り屋さんのシングルマザーです。


77歳になる母親と大学生と高校生の二人のお子さんと4人で暮らしています。

二人のお子さんも今でこそ手がかからなくなりましたが少し前まではダブルケアラーでした。


10年前にお母さまが脳梗塞で倒れ、半身麻痺の要介護となり、子育てをしながら実母の介護をしてきました。子供たちも祖母の介護には積極的で、働くお母さんを手伝っていました。


日中独居となるお母さまはこれまでデイサービスと訪問介護を使って過ごしてきました。

これまでは仕事が忙しく、あまりお母さまと関わりを持てなかったAさん。


在宅ワーク(テレワーク/リモートワーク)をきっかけにもう少しお母さまに関わりたいと思い、今まで利用していたデイサービスを止めてしまいました。


在宅ワークがなくなる日までの利用休止措置です。


しかしコロナの影響は長引き、デイサービスの休止期間を過ぎたため施設との契約自体を解除してしまいました。


このことが大きな問題に発展することとなってしまいました。

理由はお母さまの為を思ったAさんの気遣いと行動にありました。


お母さんが動かなくなっちゃった!


初めのうちは、お母さまも自分で出来ることは自分でやっていましたが、ある日動かなくなってしまいました。


そこには介護初心者であるAさんの優しさと気遣いに原因がありました。


仕事をしながらも、お母さまの動きを察して全てに手を貸して、やってあげてしまっていたのです。


だんだんとお母さまも娘を頼るようになり飲み物を自分で淹れることもなくなりました。


認知症もなく年齢に比例した物忘れがあるくらいだったのですが、在宅介護が長くなると共に脳の機能が低下し、認知機能の低下が見られるようになりました。

デイサービスでは介護士がやってくれることもあれば、自分でやらなければならないこともあります。


施設では利用者さま同士で会話をしたり体を動かしたりと刺激もあります。


家にいれば家族以外の他者との交流もなく、声をかけなくても娘さんが至れり尽くせりでやってくれます。


こうしてADLと認知機能の低下が起こってしまいました。


実はこの頃すでに認知症と診断されてもおかしくない状況でしたがAさんは、最近お母さんがちょっと我儘になってしまったなぁ、くらいにしか思っていなかったそうです。

それでもAさんがリモート会議をしている時などは、自分で動いたり、お願いしたいことがあってもそれが終わるのを待って声をかけていたのですが、在宅ワークが長くなるにつれ、Aさんの事情にお構いなしで声をかけるようになってしまいました。


会議に集中し、お母さまのケアを後回しにすると、お母さまが大声で怒り出してしまうこともあり仕事に支障をきたすようになってきました。


ある日、昼食を食べている時に、聞いたことのない物語のようなものを独り言のように言っていることに気づきました。


ただの我儘だと思っていたAさんでしたが、さすがにおかしいと思いケアマネジャーに相談、認知症外来を受診することにしました。 

診断結果は中度のアルツハイマー型認知症でした。


Aさんは何がいけなかったのか悩み、気持ちが沈みがちになってしまいました。



このままでは仕事ができない!


Aさんを悩ませたお母さまの症状は、「妄想」と「徘徊」でした。


認知症は、脳の病気ですが、今回の記事で取り上げた「妄想」とは精神症状の一つで「間違った認識」のことを指します。



たとえば、本人は正しいと確信している、否定をしたり証拠を見せたとしても訂正ができない、現実離れした内容などが妄想となります。


家の中で自分の持ち物が見当たらない時、一般的には自分がどこかに置き忘れたのか、いつもと違うところにしまってしまったのだろうと思います。


しかし「妄想」の症状では、誰かが盗んだと思い込んでしまいます。

そして、盗んだのは自分の身近な人であると思い込みます。


ご家族や身近なところで介護に関わる訪問ヘルパーやデイサービス、ショートステイのスタッフなどが犯人だと信じて疑わなくなってしまうのです。


私が介護の現場にいるときは、デイサービスのスタッフがお客様を自宅に送り届けたときに、


「この女が家の登記簿を持って行った」


と本人がいっているけど、そんなことありますか?とご家族から問い合わせが来たことがありました。


もちろん実際にスタッフが登記簿を持ち出すようなことはありませんでした。

 

次に「徘徊」ですが、お母さまが外へ出て行ってしまう事はありませんでした。


ただ、あれがない、これがない、お前どっかにやっただろ?と一日中自宅内を歩き回るようになっていました。


これでは在宅ワークどころではありません。在宅介護も限界に近く、これ以上の対応は難しいと判断された結果の施設入居となりました。

お母さまのために良かれと思ってとった行動でしたが、結果的にご家族が一緒にいられない結果になってしまいました。


在宅介護では認知症が進行し、ご家族が困りきってから施設入居などの対応策が取られることが多いのではないかと感じています。


しかしながら、ご家族の対応が後手に回ってしまった結果、疲弊し精神的に追い込まれて鬱状態になってしまうケースも多々ありました。


認知症は、進行を遅らせる事はできても、進行を止めたり治す事は難しい病です。


ゆっくりでも着実に進行するという事を前提に、前もって介護の手配をしておくことが大切です。


お父さんやお母さんが認知症になることなど無いまたは、認知症になったとしても病気は進行しないと思っていたり、現実を受け入れられないケースあるいは、思わぬ事がきっかけで認知症が発症し、進行してしまうことは現実としてあり得ます。

世田谷区Aさまのケースでは、意図せずに「フレイル」の状態になってしまった事が大きな要因と考えられます。 ※フレイルとは「虚弱・脆弱」という意味ですが介護業界では高齢者の健康な状態と要介護状態の中間を表します。身体的機能や認知機能の低下が見受けられる状態のことを指します。


デイサービスを止めたことが結果として、外出の機会を奪い、他者との交流がなくなり、引きこもりの状態になってしまったのです。


Aさんの気遣いから行われた、やりすぎ介助が拍車をかけて身体機能が低下してしまったのです。


過剰な気遣いが他者とのコミュニケーション意欲を低下させてしまい、身体的機能や認知機能が一気に低下してしまったと考えられます。

在宅ワークでリモート会議も多い中で、訪問系の介護サービス業者が来るのは困る場合もあれば、在宅ワークでご自身がご自宅に居たとしても、仕事中は親の面倒を見れないことに変わりはない、という考えからデイサービスを増やすご家族も増えてきました。


どっちが正解といった答えはありません。


それぞれのご家族、ライフスタイルにあった介護をしていくことが大事です。


うまく介護サービスを使って、健康寿命を維持することが一番大切なことです。


健康寿命を維持するための手段として有料老人ホームにご入居するという選択肢も、ご自身のライフスタイルとライフロールを保つための選択肢となります。


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