※相談事例は全てご相談者さまの了承を得て記事化しております。
ご主人さまの他界
おしどり夫婦として頑張ってきたお二人ですがご主人さまが他界。
日々の生活にハリが無くなってしまい生きている意味が見いだせなくなってしまった奥さまの相談事例となります。
ご主人さまが他界されてから奥さまは外出することも減ってしまい、食事もあまり取られなくなってしまいました。
それまでは明るくご家族さまが来るというと食事をたくさん作ってもてなしていた奥さまですが、ご家族さまが様子を見に行くと暗いリビングで泣いていることが多くなっていました。
そのことを心配された長女さまからLINE相談を頂きました。
奥さまのこれまでの軌跡をヒアリングいたしました。
奥さまは結婚するとすぐに専業主婦として家庭に入り3人のお子さまを育て上げました。
お子さまが独立されご主人さまが定年を迎えるとご主人さまの夢だったお店を手伝っていました。
ご主人さまと二人三脚で頑張ってきたお店が、高齢期になってからのお二人の生きる原動力になっていましたがコロナにより閉店を余儀なくされました。
それからのご主人さまは気力も失せてしまい家でテレビを観る生活になってしまったそうです。
お二人ともに身体的にはお元気ですが気力がなくなってしまったご主人さまを心配された奥さまは、インターネットで将棋が出来るサイトを契約しご主人さまに将棋の案内をしました。
当初こそあまり気乗りしなかったご主人さまですが他にやることも無いため徐々に将棋サイトで遊ぶ機会が増えたそうです。
やっとご主人さまに気力が戻ってきたと思った矢先、ご主人さまが心筋梗塞で他界されてしまいました。
余りに急な他界で奥さまは放心状態になってしまいました。
心配した長女さまは、食べるのも作るのも好きだった奥さまをランチに誘うなどして外出の機会を作っていました。
しかし、その場では楽しそうな奥さまですが家に帰るとご主人さまのことを思い出してしまうのか暗くなってしまったそうです。
このままでは奥さまが弱ってしまうのではないかと危惧された長女さまからアドバイスを求めるご相談が入りました。
フレイルの危険性
背景を伺ったのち、奥さまから直接ヒアリングをしたいと長女さまにお伝えしたところ、瀬谷のご実家でアポイントを設定していただけました。
二人のほうが奥さまも話しやすいということで当日、長女さまは来られませんでした。
瀬谷のご実家にお伺いしお話を伺いました。
奥さまはまだご主人さまの他界についてすべてを受け入れるところまで来ていないと思えました。
例えば、食事などもついつい二人分作ってしまうことがあり作った料理の量を見るとご主人を思い出してしまいました。
また、ご主人さまが好きだったお料理などは今も作ることが出来ず、お皿をみるだけで涙が出てしまうということでした。
ご主人が書斎として使っていたお部屋を見せていただきましたが整理されておらず当時のままとなっていました。
お部屋に入るとご主人さまのにおいがするような気がすると仰っており悲しい顔をされていました。
気力が落ちていることは明白でありこのままではフレイルになってしまう危険性がありました。
そこで思い切ってご自宅から離れるのはいかがでしょうか?とご提案してみました。
奥さまはそれが老人ホームであることを理解されており、施設への入居も考えましたと仰いました。
しかしあまり社交的な性格ではない自分が集団生活でうまくなじめるのかと悩み施設入居を躊躇されていました。
ただ、このままでは長女さまにも心配をかけるし自分でもこのままではいけないという想いは持たれているということでした。
そこで、ショートステイを試してみませんか?とご提案しました。
これから先ずっと老人ホームで生活すると考えると心構えが重たくなってしまいますが、旅行気分でショートステイを楽しまれてみてはいかがでしょか、とお話しました。
すると奥さまは、少し考えさせてください、と回答するのみでした。
その日はヒアリングをして終了し、詳細を長女さまにご報告しました。
長女さまはショートステイの利用を賛成されており、少しでも環境を変えることで奥さまが気力を取り戻すことを期待されていました。
ショートステイについて長女さまからもバックアップするというお話を頂いたのですが、気落ちしている奥さまにいろんな角度からお話をすることは得策ではないと思いそのご提案については少し待ってください、とお伝えしました。
1週間ほどして長女さまからLINEメッセージが届きました。
ショートスレイを使ってフレイル防止を計画
奥さまがショートステイを試してみたいと言っているので詳細を伺いたいという内容でした。
アポイントを頂き瀬谷のご自宅にお伺いしました。
今回は長女さまも同席されておりました。
一口にショートステイと言っても色々な使い方があります。
例えば、ご家族さまが旅行に行かれている間だけ高齢者さまをショートステイで老人ホームにお願いしたりするのが一般的な使い方ではないでしょうか。
今回もそのような感じでのご提案になりました。
お母さまのADLについてお伺いしました。
【お母さま:81歳】
食事:普通食(通常食)
歩行:自立
排泄:自立
更衣:自立
義歯:なし
認知症:ナシ
このままではフレイルの危険性がありますので、細い線ではありますがショートステイに賭けてみたいと思います。
さてショートステイ先ですが今回の件ではエリア選びが大切になってくると思いました。
ご主人さまの想い出が強く残っている地域では逆効果になってしまう可能性があります。
出来ればあまり関係のない土地が好ましいと考えました。
奥さまに、出かけてみたいところはありますか?と質問してみました。
しかし、明確な回答は得られませんでした。
そこで奥さまが生まれた場所を聞いてみました。
奥さまは葉山の生まれでした。
葉山にはすでに生家は無く、何十年も訪れてはいないということでした。
そこで久ぶりに葉山近くでゆっくり過ごすのはどうですか?とお尋ねしてみました。
すると奥さまは、少し興味を持たれました。
1週間ほど葉山近くでのんびりしてみるのも良い気分転換になると思いますがいかがでしょうか、と再度お尋ねすると、
奥さま「そうね、このままでも仕方が無いしね。」
と、初めて前向きな回答を頂きました。
早速、葉山近辺にある老人ホームでお母さまに適合するような施設探しをはじめました。
お母さまは社交的ではないということでしたので大規模施設などは向いていないと考えました。
出来れば同じようなADLのご入居者さまが居るような施設が好ましいのですが調査には時間がかかりました。
出来れば家庭的な感じの施設が良かったのですがなかなか見つかりません。
少しエリアを広げてみると対象となりそうな施設がありましたのでリストを作成しました。
奥さまにご提案すると、行ってみないと分からないので試してみましょう、という回答を頂けました。
施設に連絡をしてショートステイの段取りを取りました。
ショートステイの効果
奥さまは最低限の衣服や必要なものをバッグにまとめてショートステイに入りました。
自立しているため自由外出もできます。
近くを散歩したり、お買い物を楽しむこともできました。
そのような状況が作れたことが幸いでした。
1週間のショートステイで奥さまはいくぶん元気になったような気がするとご報告を頂きました。
通った学校や思い出の場所などをのんびりと見てくることが出来たそうです。
ご実家に戻られた奥さまがご主人さまを思い出して暗くなってしまうことが気になりました。
長女さまも同じ気持ちでご実家に様子見に行かれていました。
奥さまはご実家では暗い顔をされていたそうです。
2週間ほどして長女さまから前回行った施設にもう一度ショートステイをしたいので手続きをお願いします、という依頼が入りました。
奥さまがまた行きたいと言っているということでした。
ショートステイがいつも利用できるわけではありませんので施設に確認をすると、幸いにも奥さまが希望した日から1週間ほどショートステイを取ることが出来ました。
2回目のショートステイで奥さまは施設内にお友達が出来たということでした。
同じような年齢で葉山で育ったご入居者さまらしく昔話で盛り上がったそうです。
2回目のショートステイが終わってからほどなくして、長女さまから瀬谷のご実家に来てほしいというご連絡を頂きました。
ご訪問すると奥さまから、あの施設に入ることはできるのですか?とご質問を頂きました。
これには驚きました。
まさか奥さまからご入居依頼を頂くとは思っていなかったからです。
ちなみに、長女さまにはお話されていたそうです。
施設でできたお友達ともう少し一緒に話をしたいという想いが強くあったそうです。
また、ショートステイから戻ってくると気落ちしてしまうので、このまま老人ホームに入るほうが良いかもしれない、という決断をされたということでした。
瀬谷のご実家の売却と本入居
奥さまから本入居に関するお話を頂き気になったのはご実家でした。
思い出が詰まっているご実家をどのようにされるのかをお伺いしました。
すると、長女さまも他のお子さまもそれぞれ自立して自分たちの家を持っているためご実家を残していても仕方がないので売却します、ということでした。
売却した金額を残りの人生の老人ホーム資金に充てたいということでした。
入居相談ではこのようなケースもあります。
家の売却というのはすぐに現金になるものではありません。
しばらくの間は貯金と年金で生活する必要があることをご説明しました。
奥さまには旦那さまが残した証券と貯金があるため当面、資金に困ることが無いことが分かりました。
資金的に問題が無いことが分かりましたので本入居の手続きを行いました。
既に2週間ほどショートステイを使っていたため入居はスムーズに行えました。
各種契約に併せてご実家の売却手続きについても取り掛かりました。
当社は不動産会社ではないためこのような場合は提携している不動産会社にお願いをします。
ご実家がある瀬谷の土地はとても人気のあるところですぐに売却が決まるだろうということでした。
奥さまのその後
一時はフレイルになる可能性もあった奥さまですが、葉山の施設に入居された後は笑顔も戻ってきて日々を楽しく過ごされていることが報告されました。
特に、ショートステイの時にできたお友達と一緒にお買い物に出かけるのを楽しみにしているとのことでした。
長女さまも入居後に何回か面会に行きましたが、ご主人が元気な時の奥さまに戻ってきていると大変うれしそうにお話されました。
奥さまに今回の件を記事にしても良いかお尋ねすると、
奥さま「構いませんよ。私みたいな人に見てもらえたらいいですね。」
と快諾していただきましたので記事としてご紹介する事が出来ました。
当社では老人ホームに関する入居相談の窓口を開設しております。
今回のようなご相談についてもご対応しております。
入居相談員は介護に精通しておりカウンセリングなどを行うこともあります。
以下より無料相談をご利用いただけますのでお気軽にご相談ください。
またLINE相談では個人情報を入力することなくご利用が可能となっております。
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