※相談事例は全てご相談者さまの了承を得て記事化しております。
おかげさまで相談実例を読まれている方からのご入居相談が増えてきております。
その影響なのか皆さまより、
「失敗してしまったケースをもっと教えてほしい」
というご要望をいただきます。
そこでここから数回は老人ホーム選びで失敗してしまったケースについてまとめてまいります。
失敗の概念ですが当社ではこのように考えております。
【思っていたのと違う】
今後、数回にわたってアップする記事はすべてご家族さまが「思っていたのと違う」という内容においての失敗となります。
初めての老人ホーム探しはこうやって行われた
祐天寺に35年以上お住いのご主人さまからお問合せをいただきました。
お電話によるお問合せでしたが心無しか声が疲れているように感じました。
お時間に余裕があるとのことでしたので、いただいたお電話でヒアリングシートを作成いたしました。
頂いた内容を以下にまとめました。
◆ヒアリング内容◆
・奥さまのレビー小体型認知症が進行して在宅介護に限界を感じ施設入居に踏み切られた。
・ご自身でネットを使って施設を調べて見学に行ったが何が良いのか分からず自信が持てなかった。
・友人などから勧められた老人ホームに見学に行くも本当にそこで良いのか、という疑念を払しょくできなかった。
・他社の老人ホーム相談サイトを利用したら大量のパンフレットだけが送られてきて困惑した。
・結果的に知人の顔もあるため知人が進めてきた老人ホームに入居を決定するも、介護士含めスタッフとの折り合いが悪く転居を検討している。
老人ホームを決定するまでの過程
ご主人さまは自身で決められた老人ホームが失敗だったとお話されており一刻も早い転居を希望されておりました。
その背景を少し掘り下げてまいります。
まず、ご主人さまは何をしてよいか分からないまま、ご自身でネットを使って老人ホーム探しを開始し、介護付き有料老人ホームを3軒ほどピックアップし見学に行かれておりました。
しかし、何を基準に見学をすればよいか分からず、施設内を言われるがままに見て帰られておりました。
その後、施設の営業担当者からご入居に関して連絡をいただくもそれが本当に奥さまに合っている施設なのか自信が持てないため決断が出来なかったそうです。
そこで老人ホーム入居経験のあるご友人数名にお伺いし施設を紹介していただいたそうです。
ご友人は皆さん親身になってお勧めの施設をご紹介下さったそうです。
その中から2軒の施設に見学に行かれました。
しかし2軒とも奥さまの認知症状、ご性格また、これまでの生活環境などを考えると最適と言える施設ではなかったそうです。
老人ホームのご入居にはまとまったお金がかかることでもありますし、なにより奥さまにとって本当に良い施設の理想像がご主人さまの中に浮かんでいないことから、ネットで見つけた他社の無料老人ホーム紹介センターにお問合せをされたそうです。
ネットで無料相談のご予約を入れると担当者から折り返しお電話がかかり奥さまの状況をヒアリングし、施設のパンフレットを送るのでご自身で検討してください、と言われたそうです。
数日するとご自宅に高齢者施設のパンフレットが届きますがあまりの量に驚きを隠せなかったそうです。
パンフレットはどれも施設が営業用に作っているパンフレットで良いことしか書いていません。
相談員に求めていることはパンフレットを送ってくる作業ではありませんでした。
ご主人さまは困惑しつつ、相談員にご連絡すると、
営業マン「気になるところがあればご見学に行きましょう。最終的に決定いただくのはご家族さまですからご家族さまが納得できる施設選びのお手伝いをさせていただきます。」
と言われたそうです。
しかし、選びかたの基準が分からないのでパンフレットをいくら見てもどの施設が良いか決めることはできなかったそうです。
そうこうするうちに知人から連絡があり、
ご友人「入居するつもりがあるのか、ないのかだけでももらえないか?施設へ紹介した手前、先方にもそのあたりを伝えておきたい。」
と、言われてしまったそうです。
ご主人さまはその時点で紹介された施設が奥さまにとって本当に最適なのか判断できておりませんでしたが、ご友人の立場もあるということで、ご紹介された介護付き有料老人ホームへのご入居を決定されました。
しかし、ご入居後にトラブルが発生しました。
施設の転居を検討するに至った理由
それはご入居してから1か月ほどで露呈してきたそうです。
奥さまは認知症を発症しているため専門の施設でケアをすることで進行が遅れることを期待していたご主人さまですが面会の回数が増えるごとにその期待に疑問がわいてきたそうです。
それは奥さまの状態だけではなくスタッフの姿勢などから感じられたそうです。
ご主人さまが挙げられた疑問を書き出してみました。
◆施設に対する疑問◆
・奥さまの着ている服装がいつも汚れている
・居室のトイレが便まみれになっていた
・奥さまと面会すると毎回、尿臭がする
・スタッフがご入居者様に対してタメ語で接している
・スタッフが「座って!」や「ダメ!」など大きな声でご入居者さまに接している
・施設長に対応をご相談をしても、「集団生活なので奥さまだけを特別扱いすることはできない」など消極的な発言しか出てこない
疑問はやがて疑念に代わり、「この施設で本当に妻は楽しく過ごせているのだろうか?」という想いが強くなったそうです。
そして決定的だった出来事が、ある日の面会でスタッフがとった行動でした。
面会を終えて居室から出てきたご主人さまはテレビルームに集まって寛がれているご入居者さまをふと見ました。
すると、同じ認知症であると思われるご入居者さまの車いすがテーブルにはめられて動けない状態になっていたのです。
ご入居者さまの女性は、「お願いします」「お願いします」と何度も声を出しているのですが、スタッフは見て見ぬふりをして自分の作業を行っていたのです。
※もう少し詳しく説明すると、テーブルの高さがそれほど高くないため車いすの車輪をテーブルにはめ込んでしまうと、車いすが固定されてしまい自由に動くことが出来なくなってしまったのです。
それを見たご主人さまは一刻も早くこの施設を出なければならない、と思われたそうです。
その後、ネットで当サイトを見つけ相談事例を読まれお電話にて無料相談をかけられたそうです。
(話が前後しますが、車いすをテーブルに固定し自由意志を奪ってしまう行為は「虐待」に当たる可能性があります。決して許されるものではありません。)
ご主人さまが期待されている老人ホームとは
状況をお伺いした後、改めてお時間をいただきご主人さまが行ってきた在宅介護の内容、奥さまのこれまでの生活歴などをお伺いし、ご主人さまが希望される老人ホームについてヒアリングを行いました。
ご主人さまは老人ホームに以下を期待されていました。
・プロの介護士による専門的なケア
・看取りが出来る施設
・認知症の入居者さまであっても人間らしい生活が送れる環境
・相互間コミュニケーションが取れる施設
これまで在宅介護を頑張って来られたご主人さまは介護に関しての知識と経験があります。
認知症の進行が進みこれ以上、在宅介護を続けていくことが出来ないと判断したご主人さまは老人ホームであれば専門的な知識と経験を持ったプロの介護士が奥さまをしっかりとケアしてくれると考えておられました。
そして、奥さまが穏やかに最後の日を迎えられることを強く期待されていたのです。
それは単に「生きている」ということではなく、奥さまが幸せの中で生活されることを意味していたのです。
ご希望される老人ホームを探すこと
面談をさせていただきご主人さまが希望されている老人ホームの姿が見えてきたため、施設の選別を開始しました。
施設の場所や費用についてもしっかりとお話を伺っております。それらを加味して以下を必須条項と設定いたしました。
・介護付き有料老人ホームで探す
・認知症とくにレビー小体型認知症の取り扱いケースを持っている施設
・スタッフ数が足りている施設
・ご自宅から車で40分圏内の施設
・入居一時金が300万円以下の施設
・月額利用料金が40万円以内の施設
調べてみたところ世田谷区、目黒区、品川区そして川崎エリアで合計8軒の施設が見つかりました。
どの施設もこの業界にしては珍しくスタッフが足りており認知症についても深い知識と経験を持っている介護付き有料老人ホームです。
介護仲間のネットワークを使うなど介護業界の経験をフル活用し、介護士から評判の良い施設を中心にピックアップしました。
パンフレットや介護に従事したことが無い方では絶対に分からないコアで最新の情報を基にピックアップした施設リストです。
その中で5軒ほど気になる施設があるとのことでしたので3日に分けて5軒の介護付き有料老人ホームを見学しました。
全ての施設に私も同行しました。
5軒の施設を見学し終えた後、ご主人さまと改めて面談のお時間をいただき感想を伺いました。
すると、2軒ほど気になる施設があるという回答をいただけました。
ただ、過去にご自身で選んだ施設で失敗をしてしまっている経験からどちらが良いか決め兼ねているというお話もいただいたのです。
そこで、2軒の施設に対して体験入居をご提案しました。
体験入居とは短い期間、その老人ホームで生活することでご入居者さまがその施設で今後生活していくことが出来るかを確認するご入居サービスです。
ショートステイで代用するケースもありますし、ショートステイとつなげることで少し長めのご入居期間を設定することもできます。
ご主人さまは体験入居というシステムがあることをご存じなく、ご説明するとすぐにご承諾いただけました。
祐天寺の老人ホームで体験入居から本入居へ
2つの老人ホームでの体験入居中、ご主人さまには施設の表面やアクティビティではなく、そこで働く介護士さんの仕事ぶり、施設長の応対など、施設で働く人間をよく観察してください、とお伝えしました。
そして、奥さまだけではなくご入居されている高齢者さまの洋服の汚れや笑顔などを観察するようにすることが施設選びでとても重要であることもお伝えしました。
2施設の体験入居が終わりを迎えるころにお電話すると、もう一度打ち合わせをしたいので来てほしいと言われました。
その場でご予定を取り決め、祐天寺のお住いまでご訪問するとご主人さまと娘さまご夫婦がいらっしゃいました。
すでに本入居する施設の選別は終わっており、事務手続きに関すること、費用に関することについて質問をいただきました。
弊社への紹介料、事務手続き費用などについて算出してほしいと言われましたが、当社は一切の費用をいただいておりません、とお伝えしました。
少々驚かれた様子でしたが弊社は老人ホーム紹介においていかなる金銭もいただいておりません。
ボランティアではありませんのでご相談者さまから費用をいただかなくとも売上は上がっておりますのでご安心くださいと、ご説明しました。
体験入居で施設側も奥さまの受け入れに積極的であったこと、空き部屋があることから、転居とご入居に関する事務手続きが完了し体験入居から本入居まで2週間もかかりませんでした。
本入居後1か月ほどしてからお電話でご様子伺いをしたところ、ご主人さまからはこの施設で良かった、というお声をいただきました。
また、施設側からも奥さまは、のんびりと日々を過ごされている、というお声をいただき安心しました。
これを以って今回のケースをクローズといたしました。
さて、今回のケースで大事なことを以下にまとめてみましたので老人ホームを探されている方はご一読いただければ幸いです。
※尚、今回のケースですが当サイトの紙面にてご紹介させていただく許可をご相談したところ、ご主人さまから同じ気持ち、同じ失敗をしている方に対して何かしらの指針になるのであれば喜んで公開してください、とのご了承を得られましたので失敗例として記事をご紹介しております。本当にありがとうございます。
失敗しない老人ホーム選びのポイント
・パンフレットにのっているような表面上のところを重視しない。
例)豪華な食事や豪華な内装など
・介護士がご入居者さまにタメ語やなれなれしすぎるような発言をしていないか
・ご入居者さまが来ている服装は汚れていないか
・共用部、居室のトイレが汚れていないか
・建物から便臭、尿臭などが漂っていないか
・建物に対して充分な数の介護士が働いているか
・ご入居者さまの表情、発する言葉に違和感はないか
・施設長が介護業界の常識などを振りかざしていないか
例)介護ではある程度仕方がないことです、集団生活ですから皆さまのご意見を全て受け入れることは不可能です、などネガティブな発言を繰り返しているetc
・介護士の顔が疲れていないか、介護士のユニフォームが汚れていないか
・介護士が若い人だけ、ベテランだけなど年齢が偏っていないか
それでもやっぱり自信が持てないという方は入居相談員が皆さまの老人ホーム探しをお手伝いいたします。
その時に入手している介護業界の最新情報や施設の評判などを考慮し、ご相談者さまが本当に希望されている施設が見つかるように頑張ります。
お気軽に以下のフォームまでお問合せください。
いかなる場合においても入居相談で費用が発生することはございません。
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