※相談事例は全てご相談者さまの了承を得て記事化しております。
希望に合う老人ホームが見つからない
お付き合いのあるケアマネジャーから相談をいただきました。
あるご家族さまが老人ホームを探しており、希望に合う施設が見つからずに困っているので何とかしてもらいたい、ということでした。
ケアマネから老人ホーム探しの連絡が来ることはよくあります。
実はケアマネの仕事において老人ホームの入居相談は本来の仕事ではありません。
入所の待機者さまに対してケアプランを作成することはありますが、施設自体を積極的に紹介することはありません。
世田谷区は特に老人ホームが多く施設に関する情報は膨大になります。
しっかりと調査しなければ提案することが出来ません。
ネットの口コミやパンフレット情報だけで対応してしまいクレームになってしまうことも少なくありません。
こうした作業はケアマネジャー本来の仕事ではない上にクレームにもなりかねないため、弊社のような老人ホーム探しを行っている施設紹介会社に連絡が入るのです。
余談ですがケアマネジャーに相談される老人ホーム探しに関するお問合せの上位3つが以下となります。
1:希望する施設が見つからない
2:予算に合う老人ホームが無い
3:待ち無しで入居できる施設が見つからない
ちなみに約9割のケアマネジャーは老人ホーム探しの相談を受けたことがあると言われています。
千歳船橋での老人ホーム探し
早速、ヒアリング日時を決めご家族さまとお打ち合わせをいたしました。
主に老人ホームを探しておられるのは娘さまでこれまでに10施設ほど見学に行かれたそうです。
しかしどこの施設も一長一短で決めることができないと悩んでおられました。
入居を検討されているのはアルツハイマー型認知症を発症している要介護度3のお母さま(86歳)でした。
ADLについて伺いました。
食事:普通食(通常食)
歩行:車いす
排泄:全部介助
更衣:全部介助
入浴:全部介助
義歯:無し
当初はグループホームを中心に探していたようですが看護師が常駐していないことに対する不安から現在は介護付き有料老人ホーム、特養で探していることがわかりました。
料金的な面から特養を希望されていましたが希望に合う施設は全て入居待ちとなっておりエントリーはするものの、いつになったら入居できるか分からないことが悩みとなっていました。
現在、お母さまは娘さまのご自宅から車で5分の所に住まれており毎日、娘さまがお母さまの住むご実家に出向きデイサービスが無い日には終日ケアを行っていました。
しかし娘さまも高齢になってきており在宅介護がきつくなってきていること、親族で話し合った結果、老人ホームに入居してもらった後、ご実家は処分してその費用を施設利用料金に充てることが決まったため、予算的にも特養以外の施設でも大丈夫なことから幅広く施設探しを行っていました。
施設探しが難航した理由
ヒアリングを通して施設探しの背景が見えてきましたので必須条件と充分条件を伺うこととなりました。
そこで初めて今回のケースでケアマネジャーが悩んでいた理由が見えてきたのです。
◆必須条件
・施設は小田急線沿線で2駅以内
・母が入浴が好きなので機械浴があること
・入浴は週3回以上
・一時入居金は安ければ安いほど良い ※キャンペーンなどで入居金無料というのがあれば教えてほしい
・月額利用料は25万円以内
・週に1回以上の定期連絡
・ナースが常駐していること(できれば24時間が好ましい)
・風呂介助は同姓スタッフのみとしてもらいたい
◆充分条件
・近くに救急受入れの病院がある
・週に2回以上、外気に触れるようなお散歩をしてほしい
・できれば1日に1回写メを送ってほしい
・食事は全量食べさせてほしい
可能、不可能でいえば全て施設のスタンス次第で対応可能とはなります。
しかしこの条件をすべて受け入れてくれる施設はおそらくありません。
特に充分条件をすべて満たすような施設は皆無であることはあらかじめご説明いたしました。
娘さまもご自身が無理を言っていることは十分にご理解されており、充分条件に付いては譲歩できるということでした。
気になる点がいくつかあったため施設探しを始める前に少し条件について確認を行いました。
ご質問1
施設が小田急線沿線2駅以内の理由
>娘さまは自動車免許を所有しておらず移動は自転車もしくは電車、バスなどの公共機関を使うことを希望されていました。自転車で移動する距離として2駅以内が限界だということでした。
ご質問2
入浴を週2回で検討することは可能か?
>施設によっては週3回ということをメリットとしている施設もあるのでそうした施設をまず探してほしい。
ご質問3
週に1回以上の定期連絡ではなく何かあった時の連絡では難しいか?
>何かあった時に連絡をするのは当然だがそれ以外にも母がどんな生活をしていたのかを聞かせてもらいたいので十分条件ではなく必須で探してほしい。
※このケースでは家族が施設に連絡するのであれば問題はないとの回答がほとんどでした。
ご質問4
できれば1日に1回写メを送ってほしいというのは難しいと思う。
>施設のルールなどがあるでしょうからどうしても無理というならこれは諦めます。
ご質問5
ナースが常駐していること(できれば24時間が好ましい)
>高齢になっている母ですから、いつどんな時に何が起こるかもわからないので24時間ナースがいる方が安心できるからです。
情報精査が出来たところで施設探しを開始いたしました。しかし、すべてをクリアするような施設を探すことは本当に難しいことはお伝えしています。
施設長が難色を示す
このようなケースで気にしなければならないのは条件が厳しすぎる場合、入居後にクレームになることを懸念し入居に慎重になる施設が出てくることです。
実際に探し始めると施設側が緊張感をもって接していることがわかりました。
まとめると以下となります。
・週3回以上の入浴はまず無理である。週2回は必ずおこなうが3回については必須ではなくその時の状況によるため3回を確約することはできない。 |
・入浴3回というのは自立に限った場合であり全介助のご入居者を週3回以上というのは無理です。 |
・ショートステイ、体験入居などを無料にすることはできるが入居金を調整することは本社の意向もあるためすぐに回答できない。 |
・一時入居金を無料にするのであればその分を月額に振り分けるようになるがその点で理解は得られそうか。得られるのであれば一時入居金無料は可能である。 |
・系列の施設ならキャンペーン中なので一時入居金のディスカウントはできるが施設は千歳船橋からだと少し離れている、それでも大丈夫か確認してもらいたい。 |
・定期連絡とは具体的にどこまでを指すのか?スタッフの状況などにもよるので決められた曜日と時間だと難しい。 |
・写メを送るようなことはできない、前例がなく恐らく本社からもNGが出てしまう |
・毎回全量を確約することはできない。その方の体調などにより食べられないという時もある。 |
・必須条件、充分条件の内容から当施設では受入れは難しいと判断しました。 |
・定期連絡ではなくご家族さまが週に1回などで面会に来られるということでは難しいのか? |
施設側からすれば通常業務以上の対応について確約ができないのは理解できます。
施設長からすれば安請け合いして責任問題に発展することは避けなければならないため、こうした意見が出ることは想定内でした。
施設のリストアップを一旦停止し、施設側から挙がってきた意見を娘さまにお伝えし今後の対策を練ることにしました。
娘さまの意外な反応
すべての条件を満たすような施設が存在しないことをご説明し、その上で施設側の回答や質問についてお話をしました。
すると娘さまは、
娘さま「私が調べたり見学してもここまでの意見というかお話はしてもらえませんでした。驚きました。でも、できること、できないことというのがこれを見るとわかってきたので少し考えます。」
と仰りその日の打ち合わせは終了しました。
2週間後、娘さまから打ち合わせ希望のご連絡をいただき千歳船橋のご自宅までお伺いしました。
すると娘さまから条件の変更についてお話をされました。
公開の条件ですべてを載せることはできませんが、許可をいただいた範囲で以下します。
◆必須条件
・施設は自転車で20分以内のエリア内
・母が入浴が好きなので機械浴がある施設
・入浴は週2回以上
・月額利用料は25万円以内 ※入居金と月額を考えてどっちが得かなどを教えてほしい
・1か月に1回以上の連絡
・ナースが常駐していること(できれば24時間が好ましい)
・風呂介助は同姓スタッフのみとしてもらいたい
◆充分条件
・近くに救急受入れの病院がある
・食事はできれば全量食べさせてほしい
エリアが小田急線沿線から自転車で20分エリアになったことで施設選択の幅が広がりました。
それ以外でも大きな変更が確認できます。この条件であれば施設探しが可能です。
早速、修正条件にて施設探しをはじめました。
体験入居からの本入居
リスト化された中からいくつかの施設を見学していただき2施設を気に入っていただけました。
そこで娘さまから最後の質問をいただきました。
娘さま「これで決めてしまってよいものなのか迷っています。お金もかかることですし、母にとってどの施設が最適なのかをどうしても判断できません。何か良い方法はありませんか」
このような場合、ショートステイまたは体験入居が好ましいとお伝えしました。
見学だけで施設のすべてを把握することなどできません。
その日のスタッフや対応が必ずしも老人ホーム施設の日常とイコールであるとは限らないからです。
失敗しない老人ホーム選びに迷ったら、体験入居や体験入居は積極的に活用するべきです。
娘さまもこの意見に同意され、ショートステイや体験入居について手続きを行いました。
この際、相談員として施設側には本入居を視野にいれたショートステイ/体験入居であることを先方に伝えました。
これによりご家族さまにメリットが生まれました。
2施設それぞれにおいて1週間の短期入居を行いました。
その間、娘さまは毎日面会に行かれていました。
わたしはショートステイに対して事前のアドバイスをしていました。
それが以下です。
・面会時間は午前中、午後、夕方と時間を分けてみてください。
・施設までの移動などに無理がないか確認してください。
・食事など一緒に食べられるようであれば食べてみてください。
・お風呂時は入る前と入った後がわかるような面会をしてみてください。
・アクティビティなどを見られるのであれば遠巻きにみてください。
娘さまはショートステイでできる限り施設のことを理解しようされていました。
本入居を検討されるための「お試し入居」ではそれが正解だと思います。
2つの施設の体験入居がおわるとすぐに娘さまからご連絡をいただきました。
そして、お母さまが入居する老人ホームが決定しました。
空室があったため入居はすぐに可能でした。
ご入居後しばらくは週に2回程度、面会に行かれていたそうですが、今は週に1回から2週間に1回程度の面会だそうです。
娘さまから入居について満足されているというお話をいただき、今回のケースをクローズといたしました。
希望に合う施設がない、と思われているご家族さまは多いと思います。
施設側の事情が分からないことに起因する場合も多いと思います。
紹介会社は施設側と利用者さま両方の立場からお話が出来る仕事です。
アドバイスにあたって当社は以下のことを皆さまにお約束しています。
当社の無料相談のおやくそく
【1】ご相談は完全無料で費用が発生することはございません。
【2】ご紹介した老人ホームにご入居を決定されても成功報酬や紹介費などを頂くこともございません。
【3】ご紹介した老人ホームにご入居頂かなくとも費用が発生することもありません。
【4】過度な営業行為などは一切おこないません。
間違いのない老人ホーム先を見つけていただくために当社を活用いただければ幸いです。
ご相談は以下よりお気軽にご連絡いただけます。
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