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【新百合ヶ丘】失敗から学ぶ老人ホーム選びと入居相談員の役割

【新百合ヶ丘】失敗から学ぶ老人ホーム選びと入居相談員の役割

※相談事例は全てご相談者さまの了承を得て記事化しております。



脳梗塞を患った妻の在宅介護が限界


前回に引き続き今回も失敗してしまった老人ホーム選びからご家族さまが望まれている施設選びのコツについてご説明いたします。



川崎区の新百合ヶ丘にお住いのご家族さまからご入居相談をいただきました。



ご主人さまが会社を円満退職され、ご夫婦で趣味の時間を作り充実した生活をされていましたが、2年前に奥さまが脳梗塞で倒れ入院してしまいました。



幸いにも軽い麻痺が残る程度で退院することができ帰宅されました。それからはご主人さまが新百合ヶ丘のご自宅で奥さまの介護をしていましたが、度重なる転倒に困っていました。



ご主人さまも80歳を超えており身体的な辛さ、精神的な辛さからこれ以上在宅介護を継続することが難しいと悩まれた矢先に奥さまの脳梗塞が再発してしまったのです。



今回も発見と治療が早く大事には至りませんでしたが、ご主人さまひとりの介護力ではこれ以上の在宅介護は厳しいと判断され、ケアマネジャーや病院の退院支援看護師に相談したところ、老人ホームへのご入居を検討するように勧められたことが当社へのお問合せのきっかけとなります。



ご主人さまはデイサービスなどを使いながら在宅介護を続けていきたいとう意志もお持ちでしたが、ご自分ひとりでは自宅で介護を続けていくことは難しいという考えと、なんとか自宅で面倒を見れないかと二つの気持ちで揺れていました。



しかしながら、相談していたケアマネジャーや病院の退院支援看護師からお父さん一人では共倒れになると強く言われ決心がついたようです。


当社の無料相談にご連絡いただいたのはそのような状況の時でした。

早速、施設選びを開始するにあたりご希望条件を伺いました。



奥さまといつでも会えるようにご自宅から近いところにあること、面会の制限がそれほど厳しくないこと、そして一番大事な条件は奥さまの性格にマッチした雰囲気で楽しんで生活をおくれる老人ホームというオーダーを頂きました。


幸いにも新百合ヶ丘のご自宅近くにいつでも面会が可能でレクリエーションや生活リハビリにしっかりと取り組んでいる介護付き有料老人ホームを見つけることが出来ました。


ご主人さまと息子さまで見学をしてみると、ご主人さまはその施設の運営方針や施設内の雰囲気、スタッフの接遇の良さを気に入り奥さまのご入居に前向きでした。



しかし、息子さまはご主人さまとは異なる見解をお持ちでした。

見学に行かれた介護付き老人ホームも良いと感じつつインターネット等で収集した情報の中から勉強したのでしょう、息子さまはリハビリを続け、ADLを回復させてご自宅に戻るために老健に行ってもらいたいという希望を出されました。

ご主人さまは見学に行った介護付き有料老人ホームへのご入居を希望されおりましたが、息子さまの意思を尊重し奥さまを老健に入れることを選択されました。


そして半年が経過し奥さまはご自宅に戻られたのですが息子さまが期待されていたような生活には戻れませんでした。

息子さまは別の老健に入ることを希望されておりましたが、ご主人さまは長年の夫婦関係の経験から奥さまが昔のような生活レベルに戻ることは無いと確信されていたそうです。

奥さまの性格上、リハビリに前向きではないとわかっていたからです。


高齢になってからの半年は本当に貴重でありまた、ご主人さま自らが在宅介護を続けてきた自負もあり、老健の選択を後悔されていました。


息子さまが別の老健を探してきても首を縦に振らず息子さまとの親子関係に少しヒビが入ってしまったと仰りつつもご自身の決断を曲げることはしなかったそうです。

ご主人さまは、奥さま本人に辛くつまらない生活を半ば強制的に送らせてしまったこと後悔していました。

ご自宅に戻られた後、すぐに見学に行った介護付き有料老人ホームにご連絡をし、ご入居の意思を伝えたのですが既に満床となっており、空室が出るまで待機となってしまっていました。

そこで息子さまは、お近くにある特養(特別養護老人ホーム)や他の空きがある老人ホームはどうかと提案しましたが、ご主人さまは以前に見学された介護付き有料老人ホームとの違いを感覚的に感じており納得はされていませんでした。

特養は費用的には安いのですが介護付き有料老人ホームと比べれば生活の充実度は全く異なります。

先に介護付き有料老人ホームを見た後ではどうしても見劣りしてしまいます。

リハビリ


ADLを取り戻すことは可能なのか


今回、このお話を伺った際に感じたことを書かせていただきます。

私は介護付き有料老人ホームで長年介護士として現場で勤務してまいりました。


その経験から一度下がってしまったADL(日常生活動作)は簡単に元に戻ることがないことを良く知っています。


もちろん、リハビリがとても大切なことは理解しています。

しかし長年、現場で働いてきた経験から、リハビリを頑張っても劇的に生活動作が改善するケースを見たことはほとんどありませんでした。


息子さまのご期待は理解できるのですが、息子さまが期待するような回復は見込めないと感じておりそのことをまずお伝えしました。



リハビリと言っても色々な方法があります。息子さまがイメージしていたリハビリとは強度の強いリハビリで、器具を使ったパワリハだったり平行棒を使った歩行訓練などでした。


しかし本人にやる気がなければただの苦痛にしかなりません。



老人ホームの共同生活の中で周りの人との関わりやレクレーションを通して本人の生きる力や前向きな気持ちを引き出すことが奥さまには必要なことだと私は考えていました。


最初の介護付き有料老人ホームの見学時にもリハビリについての考え方や、今のお母さまに大切なことは何かお話をさせていただき、改めてこの話をしましたが、まだ息子さまはリハビリ=トレービングと考えておられていたようでした。



根気よくご説明すると、麻痺がある=辛いではなく、体の回復力は若い人と高齢者では違うんだ、逆に無理をさせていたということに気づき、お母さまの笑顔を取り戻したいという気持ちに変わり介護付き有料老人ホームへのご入居を納得されました。


介護付き有料老人ホーム探し


ご家族さまが出された条件が以下でした。


・入居一時金は300万円以内

・ご自宅から車で1時間圏内

・月額の利用料金は25万円以内

・24時間ではなくても良いが常駐ナースがいる施設

・レクリエーションが充実している

この辺りは施設数が多いエリアで新百合ヶ丘近辺でもいくつかの施設が当てはまり、また川崎市、横浜市として考えると20軒以上の施設が候補として挙がりました。

その中から奥さまにとって最もマッチする施設を洗い出すリサーチ作業を開始しました。

介護付き有料老人ホーム探しにおいて大切な要素の一つは介護士の質です。



特養は費用面で安いのですが、いまだに昭和時代のような介護サービスが行われていると言わざるを得ないような施設があります。



要介護が高く寝たきりの人も多く入居されている為、流れ作業の様なケアに追われてしまい、接遇の良さを求める余裕がない現実があります。


介護付き有料老人ホームは費用が高額になる施設も多いですが、その分ご入居者さま、ご家族さまの満足度を追求できますし、良い人材を育成するための研修や介護士の働きやすさに予算と時間をかけることができます。

費用に見合った高い付加価値が期待できます。


しかしながらその中でも費用対効果に合わないとご家族さまが感じることが多い施設なども存在しています。

施設の評判というのはなかなか外には出てきません。


とくにご入居を検討されているご家族さまの耳に届くことはほとんどありません。


現在はネットなどで施設の評判を調べることもできますが、過去の施設の評判であったり悪意を持った書き込みなども数多く存在しており信ぴょう性で考えると参考程度にとどめておく程度の情報しか得ることが出来ないと考えます。



その人の価値観や物事を見る視点、立場で感じ方は変わるものです。


弊社では現職の介護、看護職員からケアマネジャー、PTなど介護に携わる職員さんとのネットワークがあり常に情報交換をしております。


今回もネットワークから施設の評判について確認を行いました。

するとお勧めできる施設が5軒ほどありました。


ご家族さまに施設に関するご説明を行いその中から3軒の施設を見学することになりました。


3軒の施設は川崎市、横浜市に存在しておりいずれも車で1時間圏内で費用なども全て条件内に収まっていました。


見学では私も同行することで直に施設の今をしっかりと見定めてきました。

すると、3軒の中で1軒だけ違和感を感じた施設がありましたのでご家族さまにその旨をお伝えしました。


違和感は介護士の言葉遣いでした。



その施設は若手の介護職員の雇用を率先して行っている施設で介護職員はみな若い方ばかりでした。おそらくは大半が20代、30代前半だと思われました。若い職員が多いからダメということではありません。

気になったのはその施設では、介護士がご入居者様を子供扱いしているような印象を受けました。

また、敬語を使わないような接し方も大いに気になるところでした。

このことはご主人さまも息子様も感じており、自分の何倍も生きている高齢者に対して尊敬が感じられなかった、と嘆いておられました。

3軒の見学を終えた数日後、ご主人さまからご連絡をいただきご自宅にお伺いしました。

その日は息子様はおられずご主人さまだけでした。

ご主人さまは相談員として忌憚のない意見を伺いたいと仰りました。

どの施設が相談員として良かったのか、と訊かれたのです。

そこで私は1軒の施設についてお話をしました。相談員の目線として今回のケースではその施設がベストであると判断したからです。

判断したポイントは以下。


・中規模施設で全体的な雰囲気が明るい

・入居者が飽きないようレクリエーションを考え、ボランティアも多く呼んでいる

・介護士がとても丁寧であいさつや振る舞いがしっかりとしている

・ご入居者さまの着ている物などが清潔に保たれている

・共用部のトイレなどもしっかりと清掃されていて綺麗である

・看護師の経験値も高く、ご入居者さまの状態を正確に把握しており安心して任せられる

・スタッフ間の連携と情報伝達がしっかりと取れている

・欠員シフトにならないだけのスタッフを抱えている

・介護職員の定着率が高い


見学とはいえ外から見えることには限界があります。そこで私は見学後、この施設の評判をリサーチしておりました。

リサーチの中で欠員シフトにならない点や介護職員の定着率が高いことがわかってきました。

ご主人さまは説明を聞いたのち、私がお勧めした施設への入居の意思を伝えられました。

ご入居手続きに入る前に、息子さまにお伝えしなくても良いのか気になりましたのでご質問したところ、


ご主人さま「今回は私の一存で決定します。息子の気持ちもありがたいがやはり夫婦として長年妻を看てきて私もその施設が妻にとって一番良いと感じていました。今回、あなたの説明を聞いて決心がつきました」


と、仰ったのです。

そのお言葉をいただきすぐにご入居手続きに取り掛かりました。


新百合ヶ丘の施設に入居後のご様子


奥さまがご入居してから1か月ほどしたころにご様子伺いのお電話をいたしました。

奥さまは最初こそ帰宅願望が強く、お洋服などをクローゼットから全て出してしまう行為が目立ったそうです。


しかし介護スタッフと仲良くなるにつれ、そのような行為も少なくなり、なにより笑顔が多くなってきたようだ、とのことでした。


コロナがおさまりつつあり、自由に面会が出来るようになったことから今は、週に1回程度施設に行かれておりました。


息子さまに関しては、ご主人さまが独断で施設を決めてしまわれたことを良く思っていなかったようですが、施設に面会に行かれて何度かお母さまとお話をされると、施設選びが正しかったとご納得いただけた、とのことでした。


ご家族さまのご期待に沿った施設が見つかったと判断し今回のケースをクローズといたしました。

尚、現在ご主人さまから元同僚のご家族さまも老人ホームを探しているので手伝ってあげてくださいとご紹介いただき、ご入居相談を行っております。


※ケースクローズの際に今回のケースを記事化しても良いかご主人さまにお伺いしたところ、施設名や人物特定できない範囲で記事にしていただくのであれば問題ありません、とのお言葉をいただきましたので今回の記事を同じ思いをされているご家族さま向けに発信することといたしました。



公式LINE相談はじめました

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