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【下丸子】話がまったく違う!入浴介助のあることが原因で老人ホームを転居

【下丸子】話がまったく違う!入浴介助のあることが原因で老人ホームを転居

※相談事例は全てご相談者さまの了承を得て記事化しております。

老人ホームに入居中の要介護1のお母さま


前回の記事でお伝えしたように今回は施設側の対応に不信感を持たれたご家族さまからのご相談となります。



大田区の下丸子にお住いのご家族さまから転居先の老人ホームを探してほしいというご依頼をいただきました。



現在、とある介護付き有料老人ホームに入居中のお母さまを一刻も早く別の介護付き有料老人ホームに転居させたい、という切羽詰まった内容でした。



現状の確認とお母さまの介護度をヒアリングするためのお時間を頂きました。

まずお母さまのADLを伺い以下にまとめました。



【お母さま:83歳】

食事:普通食(通常食)

歩行:自立

排泄:自立

更衣:自立

義歯:なし

認知症:ナシ

介護度:要介護1


【補足】

・羞恥心が強い



要介護1ですが認知症は発症しておらず、歩行、排泄、食事、入浴などは自立でした。

実はここでのポイントは補足にある羞恥心です。



今の老人ホームは入居して4か月ほどです。入居経緯についてご説明します。



お母さまは同じ大田区の新丸子で独居生活を楽しんでおられましたが、ご自宅の階段から落ちてしまい骨折。



幸いにも後遺症はなく怪我も完治したのですが、親族が独居のリスクを心配して老人ホームへの入居生活に踏み切りました。



独居生活では週に3回の訪問介護サービスを利用していたこともあり、お母さまから老人ホームの入居について大きな反対はありませんでした。



入居後も帰宅願望はありませんでしたが「外に出たい」という気持ちは強く、そのような時には次女さまが面会に行き、お二人で散歩や買い物に行かれています。



お母さまは新しいものが大好きでスマホもいち早く持たれており、ご家族さまとは家族のグループラインでつながっていました。



ご家族さまも入居中の老人ホームで良かったと安心されていたそうです。



ところがある時、お母さまからご家族のグループラインにメッセージが届き事態が急変します。



【転居の原因】入浴介助は男子禁制のはずでは?


お母さまは週に2回のお風呂をとても楽しみにしていました。



入居時の説明では入浴時は介護士が浴室での見守りをすることが伝えられました。



お母さまは羞恥心が強い方であったためご家族さまは見守りナシの入浴をお願いしたそうですが施設側から安全が担保できないので難しい旨を伝えられています。



それならばせめて見守りのスタッフは同性である女性スタッフでお願いしますと伝え施設側からも概ねの了承を得ていました。

※概ねとは、男子禁制を契約書に明記せずに口答での約束だったそうです。



そして、入居がスタートしました。



当然ですが、ご家族さまは入浴介助は女性スタッフが行っているものと信じて疑いませんでした。



ところが、ある時お母さまからご家族のグループラインにこんなメッセージが入りました。



「お風呂なんだけど男性の方が浴室にいて落ち着かない。なんとかしてもらえないかな、お風呂くらいゆっくりとしたいよ。」



それを見たご家族さまは大慌てで施設に問い合わせをされています。


その際、施設側からは、



「同性介助についてはできるだけ守っていますがスタッフの出勤ローテーションにより必ずというわけにはいきません。そのことは契約時にお伝えしており、ご理解いただいているものと認識しております。」



男性の見守りは緊急時だけだと認識していたご家族さまはその日のうちにお母さまに面会に行かれました。



そしてお母さまにどんな頻度で男性スタッフが浴室見守りをしているのかを質問されています。



すると、週に2回の入浴のうち半数が男性による見守りだったことが分かったそうです。



改めてそのことを施設側に質問すると、



「男子禁制※ということはスタッフにも周知しておりますが、先ほど申し上げたように出勤しているスタッフによりどうしても同性介助が出来ない場合もあります。その点をご理解いただけないでしょうか。」



とのことでした。 ※男子禁制とは同性介助の意味であり施設などでは男禁などと言われることもあります。


ご家族さまとしては同性介助が絶対であると信じていたのに1/2で異性介助になっていた事実について到底納得はできませんでした。



お母さまは人一倍、羞恥心が強く旅行先でも大浴場などは利用せず内風呂を利用していたのです。



それを我慢してほしいというのは余りにもお母さまが可哀そうだ、ということになり転居を決定されたそうです。



そして、当社の入居相談にご連絡を頂きました。


男性禁止(男禁)の入浴介助が可能な老人ホーム探し



ご家族さまよりいただいた施設条件がこちらになります。



◆必須条件

介護付き有料老人ホーム

・現在の施設と同じ価格帯

・看取り対応

・同性介助による入浴見守り


◆充分条件

・出来ればすべての介助は同性介助

・大田区内にある施設

・居室にお風呂がある

・即入居




価格については伏せてほしいということでしたので施設の利用料金については非公表といたします。



早速、施設を探し始めました。


全てのケアが同性介助必須となってしまうと該当する施設はありませんが、入浴介助において同性介助(男子禁制)ということであれば条件に合う施設はたくさんあります。



リストをご連絡すると3施設に見学依頼が入りました。



施設にはあらかじめ羞恥心が強く、入浴介助は同性介助であることが条件であることを伝えており、3施設とも快く承諾していただけています。



全ての施設を見学した後、ご家族さまから1つの施設について体験入居のご依頼をいただきました。



体験入居で不安が無ければそのまま本入居契約に進みたいという意向を頂き、施設側に説明を行いました。



下丸子のご家族が老人ホームを決めた理由


体験入居ではお母さまの帰宅願望は無く、お風呂についても同性介助が守られていました。



ご家族さまからご紹介した施設についてご満足いただけているとのお答えを頂きました。



下丸子のご自宅から車で30分圏内にある介護付き有料老人ホームに決められた理由を伺いました。



・浴室が広くて清潔である

・日差しが良く入る居室である

・価格が以前の施設よりも安くなった

・女性スタッフがたくさんいる

・施設長の人柄

・お母さまからのlineメッセージが明るくなった



「お母さまからのメッセージが明るくなった」という感想は相談員としてとてもうれしかったです。



本入居後も変わらずのご様子であることが分かったため今回のケースをクローズとしました。



今回の記事では施設側と利用者さま側の間での食い違いについて触れてきました。

この場を借りて、転居理由となってしまった異性介助/同性介助についてもう少しだけ深堀りしたいと思います。



同性介助は介護の基本


高齢者、障碍者における介護の基本は「同性介助」です。



つまり男性のご入居者には男性介護士、女性のご入居者には女性介護士がケアにあたることが基本なのです。



しかし、法律に明記されているわけではありませんのであくまでも紳士協定となります。



施設により比率は異なりますが介護付き有料老人ホームなどは女性のご入居者が多いのが通例です。



男女比が1:1という施設は私が介護士として施設勤務していた時には皆無でした。



では実際の介護現場では基本が実践されているのでしょうか?



残念ながら100%機能しているとは言えないのが実情です。

それは、介護業界における慢性的な人材不足が大きな原因です。



施設側もできるだけ同性介助に近づけるようシフトを調整していますが完全なる同性介助を実現できている施設はほとんどないと言えます。



排泄介助や更衣介助などでは異性介助は当たり前です。

それほどまでに介護業界における人材不足は深刻なのです。



先ほども申し上げましたが老人ホームのご入居者は女性が多いため女性スタッフの雇用が求められます。



しかし、労働における賃金の安さにより他業種転職に歯止めがかかっていません。

以前は子育ての終わった女性介護士が介護業界に再就職していましたが、今は介護に戻ってくる女性介護士は年々少なくなっています。



施設側も同性介助の基本は充分に理解はしていますが実践できないジレンマを抱えています。



同性介助のメリット


・ご入居者さまと関係値が早く作れる傾向がある

・排泄介助や更衣介助などを含めて介護拒否が生じにくい

・ご入居者さまの羞恥心に配慮できることが多い

・ご入居者さまに余計なストレスがたまりにくい



同性介助についてはデメリットはありません。


ご入居者さまが安心してご自宅のように暮らせるには同性介助のほうが好ましいということになります。


だからこそ介護の基本と言われるのです。



ちなみに、介護施設にとって同性介助を調整しやすいケアは入浴介助です。



そして経験上、自立されているご入居者さまが一番気にされるのが入浴時における異性介助です。ご家族さまも同様です。


特に女性のご入居者さまは男性のスタッフが浴室という密室空間で見守りをすることに恐怖感を感じることが多いです。



入浴に関する条文:介護保険法


老人ホームの入浴が毎日ではなく、週2日、週3日という施設が大半であることに違和感を持たれている方もいるのではないでしょうか。



実は、老人ホームにおける入浴は介護保険法における「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」に明記がされているのです。


一部抜粋します。

第十三条 介護は、入所者の自立の支援及び日常生活の充実に資するよう、入所者の心身の状況に応じて、適切な技術をもって行われなければならない。 2 指定介護老人福祉施設は、一週間に二回以上、適切な方法により、入所者を入浴させ、又は清しきしなければならない。 3 指定介護老人福祉施設は、入所者に対し、その心身の状況に応じて、適切な方法により、排せつの自立について必要な援助を行わなければならない。


ただし改訂されて一週間に二回以上の箇所が削除されています。

この条文により多くの介護施設は入浴を週二回以上としています。



入居中の老人ホームに不安を感じたらご相談ください


ご家族さまが入居されている老人ホームについて不安を感じている方からのご相談をお待ちしております。



今回のケースでは転居となってしまいましたが、必ずしも転居だけが正解ではないケースもあります。



施設側と利用者さまに生じる理解の差異などは転居しなくても解決できることもあります。



過去に介護士として施設の現場でケアを行ってきた相談員だからこそわかることがあります。



特に同性介助、異性介助などについてはご家族さまと施設側で理解にズレが生じやすいと言えます。



今、ご利用中の老人ホームに違和感がある方は以下よりご連絡ください。



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