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【若林】住宅型有料老人ホームから介護付き有料老人ホームへ転居した理由

更新日:4月22日


【若林】住宅型有料老人ホームから介護付き有料老人ホームへ転居した理由

ご家族さまの思いは様々です。時に強い思いが思い込みになってしまうこともあります。今回のケースはそのような事例についてとなります。

介護付き有料老人ホームからホスピス系へ転居


ご相談者さまはご長男で、若い時にご両親が離婚されお母さまが一人でお育てになられました。

その恩があるためお母さまが高齢になると施設でのんびりと暮らしてほしいという思いから介護付き有料老人ホームを選択されていました。


3年ほど施設で過ごされた時にお母さまにガンが発覚したそうです。

ガンが悪化し医療依存が強くなってしまったことからホスピス系施設へ転居することを決断されました。


長男さまはホスピス系施設で月一回の輸血を行っている間もご自身に時間が出来ると施設へ面会に行かれてはお話をされていました。


そこで施設に対して疑念が生まれたそうです。


以前にいた介護付き有料老人ホームでは介護スタッフが丁寧にケアをしてくれていたのですがホスピス系の施設ではご自身が思うようなケアが行われていないという疑問があったそうです。


具体的なことは分からないとしながらも、感覚的に何か違う、といった思いだけが強くなっていたそうです。


その思いはスタッフさんや施設へ向かうことになりました。

お母さまは要介護3でコミュニケーションは問題ありません。


面会時にお母さまがつらそうな顔をしているのを見ると、何かがあったのではないかと思い、ナースコールでスタッフさんを呼びなぜお母さまが苦しそうな顔をしているのか、と尋ねられました。


スタッフさんも丁寧に回答しており、そのことは長男さまも理解しているのですが一度、疑ってしまうとどうしても何かある!という思いが消せなかったそうです。


そのためどうしてもスタッフさんに強い言葉で話しかけてしまったことは反省されていました。


あるとき面会に行くとベッドのシーツに便跡が見つかり指摘すると、夜のパッド交換時に一緒に交換します、と言われ、便が付着してるまま何時間も過ごせというのか!と怒ってしまったそうです。


そのような状況から施設との関係は悪化してしまい、施設側からもやんわりと転居してもらいたいというようなお話が出てしまいました。


転居先を紹介してほしいとお願いしたのですが、丁寧にお断りされてしまったそうです。


長男さまは介護システムに関してはそれほど詳しくないため今のお母さまにとってどのような施設が一番良いのかわかりません。


しかし、今いる施設はご自身も納得がいかないため次の施設探しをすることがお母さまのためでもあると考え、ご自身で施設探しをされました。


そして住宅型有料老人ホームに転居しました。


住宅型有料老人ホームからも転居依頼


ご自身で選ばれた住宅型有料老人ホームは自立している入居者さまが多く、外部の介護サービスを利用することで医療依存についても対応していただけたそうです。


最初こそ満足だった長男さまですが、面会数が増えるにつれ介護スタッフに対して強く当たるようになってしまったとのことです。


その1つが言葉使いだったそうです。

スタッフさんが利用者さまを呼ばれるときに名字ではなく名前で呼ぶことを受け入れることが出来ないとのことでした。


スタッフさんは親しみを込めて入居者さまを下の名前で呼ぶことがあります。

また、名字が同じ入居者さまについて与薬ミスなどを防ぐため下の名前で呼ぶように指示していることもあります。


長男さまはそのことを知りませんでした。

30歳前後のスタッフさんが入居者さまを下の名前で呼ぶことに違和感を持たれ、施設に改善要求をしたそうです。


施設側からは言葉使いに関して指導します、と言われるのですが面会に行くとやはりほかの入居者さまに対して下の名前で呼んでいたり、敬語を使わないなどが気になっていました。


面会のたびにそのことを施設長、サービス管理者に指摘していたそうです。


そこで1年ほど生活をされていたのですがお母さまの身体が弱ってきて寝たきりに近い状態になってしまいました。


施設からも身体的に弱ってきていることを報告され、介護再認定を受けてほしいと言われ再認定すると要介護4になってしまったそうです。


お母さまは認知症は無いのですがADLは以下のような状態でした。


◆ADL◆

・食事はムース食で上下義歯 ・食事は全部介助 ・排泄は常時おむつで全介助

・更衣は全部介助

・医療依存(月1回の輸血)

・車いす移動

・ガンによる出血性貧血


住宅型有料老人ホームは費用面では介護付き有料老人ホームよりも安いメリットがあるのですが介護度が上がってしまうと住み続けることが難しくなる場合があります。


もちろん施設ごとに異なりますのですべての施設がそうではありませんが、長男さまが選んだ施設は要支援、要介護度3以下を主としたサービスを展開している施設でした。


そのため再認定で要介護4と認定された段階で施設長からやんわりと転居についてのお話をされてしまいました。


最初こそ、なんとか面倒を看てもらいたいとお願いしたそうなのですが、施設側から介護度が高いため当施設ではなく介護度の高い入居者さまがご入居できる施設へ転居してください、と言われてしまったためまた施設探しになってしまいました。


長男さま曰く、面会のたびにスタッフさんやサービス管理者などに要望を出し続けたことで嫌われてしまったことも原因だろう、とおっしゃられていました。


また施設を探さなくてはいけなくなってしまった時にネットで調べものをしていた時、当サイトを見つけてご相談をいただいたのです。


施設とご家族さまの関係構築はとても大切


これまでの経緯を伺い、長男さまと施設の関係値が微妙ではないかという点が一番気になりました。


以前にも記事としたことがありますが、施設とご家族さまの関係が悪化してしまうと転居しなければならない事態に発展しがちです。


長男さまのお話を聞く限りではありますが、施設側からすると「気を付けなければならないご家族さま」という位置づけになっていた可能性は否定できません。


ご家族さまの思いが強すぎて「思い込み」になってしまうことがあるのです。


思い込みからの発言は厳しい言葉になることが多く、ご家族さまと施設の関係値に大きな影響を及ぼします。


思い込みがひどくなってしまうと、高い金を払ってるんだからキチンとやれ!とか、顧客満足度のためなら何でもしろ!といった発言につながります。


しかし、介護スタッフは奴隷ではありません。感情のある人間です。

一方通行の言い方になってしまえば凹みます。


介護士としての経験から介護スタッフさまとの付き合い方についてアドバイスいたしました。


長男さまは少し驚かれていたのですが介護業界は恒常的な人不足や、仕事に対する対価が安いなど職種として恵まれているとは言えない業種でもあります。


その中で介護スタッフさんは日々、理想の介護を行うため切磋琢磨しています。


関係構築が悪化してしまうとスタッフが疲弊してしまう可能性が上がったり、施設全体の業務効率が下がるため転居依頼につながります。


また、自施設で関係が悪化している利用者さまを付き合いのある施設に紹介するでしょうか?


介護に限らず、紹介はしないでしょう。


長男さまのケースではそこまで関係が悪くなっているとは思えませんでした。

本当に紹介できる施設が無かった可能性もありますし、その施設自体が他社への紹介を行っていないのかもしれません。


いろんな思いはあるとは思います。指摘したくなる気持ちもわかります。しかし、介護施設で働くスタッフさんとのコミュニケーションについて少しだけ考えてみるのも上手な施設の使い方だと思います。



神奈川県の介護付き有料老人ホームに決めた理由


さてご相談をいただき、今の施設からすぐに転居しなければならない事情も加味し、必須条件を取りまとめました。


◆希望条件◆

・以前入居していた介護付き有料老人ホームに戻りたい

・ダメなら介護付き有料老人ホームで探してほしい

・すぐにでも転居したい

・ご自宅から車で行ける範囲(具体的には1時間以内)

・入居金は600万円以内

・月額利用料は40万円以内

・スタッフ教育がしっかりしている施設

・ナースが24時間常駐している施設


長男さまは以前に居た介護付き有料老人ホームに戻りたいという思いがありましたのでまずそのホームに連絡を取りました。


すると、満床であることを理由に入居を断られてしまいました。

系列で24時間ナースが常駐している施設もあったのですが入居金が1000万円以上、月額利用費が50万円を超えてしまうため予算の範囲外になってしまいます。


念のため、その系列施設についてご説明いたしましたがやはり予算的な問題から難しいとの回答となりました。


施設探しで難しかったのはご自宅の近くで24時間ナースが常駐している施設で月額40万円以内という条件でした。


世田谷区で探し始めましたが条件に見合うところが少ないため渋谷区、新宿区、目黒区あたりまで手を伸ばしましたがやはり条件に見合うところは少ないです。


お母さまは認知を発症していないため24時間ナース常駐は必須にしなくても良いのではないか、と伝えたところ、そこは必須でお願いしますと言われましたので着眼点を変えて検索しました。


都内では条件をクリアできる施設がほとんどない上、見つけても満床で順番待ちになってしまいます。


出来るだけすぐに転居したいことも条件の1つであり、現施設が転居依頼を出している以上、猶予は余りありません。

そのため順番待ちの施設については対象外としました。


23区内とくに山の手側と呼ばれる渋谷区、世田谷区、目黒区などは介護付き有料老人ホームも多いのですが満床率も高くまた、費用も高額になるためいただいた条件を満たす施設は数えるほどしかありません。


そこで車で1時間圏内という条件から神奈川県の施設を探すことにしました。

世田谷区の若林から車で1時間であれば川崎市、横浜市が対象になります。


都内に比べて施設の利用料金が安く、満床率も都内程高くありません。


探し始めてみるとすぐに5件ほど見つかりました。

そのうち2つは高速を使うことで1時間圏内の条件をクリアしていました。


集めた施設についてご説明する時間をいただきました。

長男さまは条件に合ったのであれば、高速でも一般道でも良いので施設のスタッフさんの言葉使いやケアの良いところにしてほしい、と言われました。


そこで5件すべてに対して見学依頼を出しました。


決め手はことば使いと声の大きさ


長男さまはご自身で会社を経営されているため時間について融通が聞きました。

そこで、見学は2日間連続で一気に行うことになりました。


各施設に見学依頼を出し、長男さまと相談員の2名で見学を行いました。

長男さまは自宅から車で行くことで施設までの時間をはかりたいということでしたので約束のお時間に長男さまのご自宅に伺い車にご一緒させていただき施設の見学に向かいました。


初日は2施設の見学のため、行きの時間と帰りの時間をはかることで移動時間を計測することが出来ました。


長男さまは見学時にスタッフさんと入居者さまとのやり取りに神経を使われていたことは分かっていました。

施設長もその点は分かっていたと思います。


長男さまは見学が終わって帰りの車の中で色々と感じた点をお話してくれました。


そして翌日、のこり3施設の見学を行いました。


5件の施設見学が終わり、帰りの車の中で長男さまから1時間ほど時間をもらいたい、ということでしたのでご自宅に戻られた後、お話を伺うことになりました。


そこで長男さまは2日間の見学についてお話をされました。


「利用料金や入居金が厳しい条件の中、条件に合致した5件の施設を探してくれたことに感謝します。各施設ごとに幅はありますが想定内なので金額で判断することはしません。」


「正直私には介護に関する知識がありません。だからスタッフがどのように仕事しているかだけを見ることにしました。それはたぶん、相談員さんもわかっていたと思います。それで私が良いと思ったのはB施設とE施設です。それ以外は検討しません。」


「ただそれで本当に良いのか分からないので相談員さんのご意見を伺いたいのです。」


これまでの経緯から長男さまが言葉使いを大事にされていることは理解していましたので私もその点は書き留めていました。


A施設:中規模施設で20代のスタッフさんが多く活気ある。時折、スタッフさんがスピーチロックギリギリの大きな声を発しており入居者さまを下の名前で呼ぶシーンも見受けられた。


B施設:中規模施設。20代から50代過ぎのスタッフさんが混在しており男女比はおおよそ1:1である。大きな声などは無く、スタッフさんが入居者さんに対して丁寧な対応を意識していることが分かった。「さん」または「さま」を付けて名前を呼んでいた。


C施設:大規模施設。見守りなどの際にスタッフ同士が笑い話をしているが仕事には影響なし。30代前後のスタッフさんでまとまっている。入居者さまはすべて下の名前で呼んでいた。車いすの移動スピードが早いのが気になる。


D施設:中規模施設。見学制限が一番厳しかったがコロナ対策が一番しっかりしていた。スタッフさんは声掛けも丁寧、しっかりと立ち止まって挨拶をしていた。年齢は30代、40代で女性が男性の倍くらいの比率。


E施設:大規模施設。見ることが出来たスタッフさんの数と床数を考えると少しスタッフさんが足りない印象はあったがイレギュラーシフトの可能性もある。スタッフさんは言葉使いが丁寧で声掛けの際は基本的に「さま」付けで呼んでいた。パーソナルスペースを意識して仕事しているようだ。


長男さまがB施設とE施設を好まれたのは、スタッフさん全員が「さん」や「さま」を付けていたこと、ニックネームや下の名前+さん付けといった口語を使わなかったことでした。


相談員としてD施設も悪くは無いと思いましたが長男さまの見解は少し違いました。

長男さまはD施設がエレベーターや食堂など共用部に張り紙がたくさんあることを気にされていました。


マスク着用、お食事は7時までにダイニングへ来てください、共用部の新聞は居室へもっていかないでください、といった張り紙が随所にあるというのはスタッフさんと入居者さまのコミュニケーションが希薄と判断されたようです。


相談員として素直な気持ちを長男さまに伝えました。すると、長男さまはその場で、B施設にすることを決定されました。


このような場合、早急すぎる決断が後々、トラブルや早期転居の原因になることがあります。

そこで2、3日ゆっくりと考えてから回答されるほうが良いです、とアドバイスをして3日後に改めてお電話しますと、お伝えしました。


3日後にお電話すると、長男さまは、


「あれから何回も考えたけどやっぱりB施設かE施設のどちらかしかなかった。D施設は母には窮屈かもしれないと思いました。E施設は大きすぎるわりに人がいないような気がしました。最終的にはB施設でお願いします。これで確定です。契約の段取りに移ってください。」


と言われました。

確定連絡をいただきましたので契約書の取り交し、入居日などを決める作業に取り掛かりました。


1週間、2週間、1か月のご連絡


かなり駆け足になりましたがおよそ20日ほどで前の施設から新しい施設への転居が決まりました。

長男さまや旧施設、新施設のご担当者さまが迅速に対応いただけたことに感謝です。


お母さまがご入居されてから1週間、2週間、1か月で長男さまにご様子伺いでお電話したところ、施設に関する不満や不安はなく、お母さまもリラックスして施設生活を楽しまれていることがわかりました。


今回ご提案した施設は面会やご家族さまとの外出に寛大であるため、天気の良い日などは車いすで外に散歩に出かけたりするそうです。


その時間をお母さまも楽しみにされているとのことでした。


施設選びなどで苦心はしましたが結果としてご満足いただけたことがとてもうれしかったです。


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