※相談事例は全てご相談者さまの了承を得て記事化しております。
疼痛による介護拒否
LINE公式に相談が入りました。
ご家族さまはお母さまの介護拒否に悩まれておりどうしたらよいか、というご相談です。
お母さまは81歳で車いすによる生活をされていました。
認知症が進行しておりコミュニケーションが難しく在宅介護を続けるか老人ホームにお願いするか悩んでいるとのことでした。
日々の介護は娘さまが行っており主に排泄介助と更衣介助でした。
それまで大きな介護拒否は無かったお母さまですがここにきて拒否が頻繁になっているとのことでした。
特に排泄介護においては毎回ケア拒否となってしまいました。
具体的な拒否内容について伺いました。
・「痛い」と連呼しての介護拒否
・介助者に対する暴言
・更衣介助でも「もういいもういい」と着替えを拒否する
・手をつねる、時に介護者の顔に唾を吐く
この中でご家族さまが不思議がっていたのが痛みに関してでした。
それまで痛みなど訴えることが無かったお母さまなので病院で診察をしましたが何も出なかったのです。
拘縮なども無いため痛みが発生する要因が特定できずにいました。
しかしケアでは痛みによる暴力が頻回してきておりこのままでは娘さまも介護限界になってしまいます。
相談をうけてまず疑ったのは疼痛が詐病である可能性です。
高齢者はケア拒否に色々な表現をします。
痛みはその典型でもあるのです。
本当は痛みは無いのですが、痛いということでケアがストップするため頻繁に「痛い」という言葉を使うようになったりします。
ご家族さまには本当に病気ではないのか精密検査をしていただくようにお願いをしました。
血液検査やCTなどの検査をするもそれらしい病魔の存在は確認できませんでした。
拘縮もないことからお母さまがケアの中止を訴えるために「痛い」という発語をしている可能性が高まりました。
認知症が進行しているため、お話をしても理解が難しく「痛い」の発語を辞めることは無いことをお伝えしました。
今後もケアを希望しない場合は痛みを訴え、暴力などが頻回してくることもお伝えしました。
過去の例から暴力は介護限界を招く恐れがあります。
認知症の方は力がとても強いことがあり、手をつねると言った行為でも介助者が傷ついてしまうこともあります。
今回のケースでも娘さまは腕に二か所程つねりによる赤みがあると仰っていました。
こうした暴力を小さくするために投薬をするなどの対策もありますが、根本的な治療とはなりません。
ご家族さまは薬によるケアを望まれておりませんでした。
今後もこうした状況が続くことをお伝えすると、老人ホームへの入居を決断されました。
桜台の老人ホーム探し
お母さまは以前に要介護認定を受けており要介護3でした。
お母さまのADLを下記します。
【お母さま:81歳】
食事:普通食(通常食)
歩行:車いす
排泄:全部介助
更衣:全部介助
義歯:なし
認知症:重度
介護度:要介護3
介護度として特養の入居条件を満たしております。
ご家族さまにお伝えしたところ、特養に入れるならば特養にお願いしたいとの要望をいただきました。
ただ、東京都の特養は人気があり順番待ちが100人以上ある施設もあります。
選択肢は2つありました。
1つは申し込みを行い順番が来るまで在宅介護を続けるというものです。
順番待ちの数は分かりますが具体的にどれくらい待てばよいかといった正確な期間はわかりません。
すぐに順番が回ってくることもあれば2年、3年と年月がかかることもあります。
正確な待ち時間が分からないと、いつまで在宅介護を続ければよいか分からず漠然とした不安を抱えてしまい介護限界を迎えることにつながります。
しかしこれは制度ですから仕方ありません。
そのため昨今増えてきているのが、特養の順番が来るまで老人ホームに入居する方法です。
ご家族さまにご説明すると、これ以上お母さまの暴力には耐えられないので老人ホームに入居して順番を待つことになりました。
今後の流れが確定致しましたので老人ホーム探しに必要な必須条件と充分条件をいただくことにしました。
◆必須条件
・一時入居金は100万円以下
・月額利用料は23万円以下
・看取り可
・距離制限はナシ
◆充分条件
・同姓介助、特に入浴
できるだけ費用を抑え、お母さまの貯金と年金で利用料金を支払うことが絶対条件となるため必須条件よりも安い施設でご提案可能ならばリストに加えます。
身体介助が必須となっているため介護付き有料老人ホームで探すのが最適であると判断しました。
練馬区にはたくさんの老人ホームがありますから選択肢に困ることはありません。
ご家族さまがお住いの桜台の近くにもたくさんの老人ホームがあります。
その中からお母さまにマッチする施設を探すことが入居相談員の役目となります。
今回の件でいえば、同姓介助となります。
入浴について男子禁止を徹底してくれる施設探しが大切です。
同姓介助は介護では当たり前ですが、深刻な人材不足により100%実現している施設が少ないのが現状です。
そのため、施設としては可能な限り同姓介助について契約書に明文化しないことを好みます。
ご家族さまもそのことは理解しており、必須条件にはなっていません。
ただ、入浴については男子禁制でお願いしたいとのことでした。
探していくと、女性介護職員が多く、男子禁制の入浴が可能な施設が見つかりました。
資料に詳細をまとめご家族様にご提案すると2つの施設について見学依頼を頂きました。
早速、見学依頼書を作成し見学日を確定しました。
1日でふたつの施設を回り見学終了後に感想を話すお時間をいただきました。
ご家族さまはどちらの施設についても好意的でした。
ちなみにどちらの施設も入浴について同姓介助を約束していました。
女性介護職員比率が高いのもふたつの施設に共通しています。
ご家族さまからどちらが良いかを質問されましたが、入居相談員が施設の最終決断をすることはありません。
ご家族さまが納得しての決断でなければトラブルのもとになるからです。
何かわからないことがあればご連絡願います、とお伝えしました。
3日ほどしてから娘さまよりLINE公式にご連絡が入りました。
施設の利用費が入居のポイント
最初に見た施設にて契約を進めてほしいということでした。
施設長に連絡をして空き部屋の確認、契約書類等など入居手続きのサポートを行いました。
2つ見学した施設の中からなぜ今回の施設を選んだのかを伺いました。
サービスについてはどちらも遜色なく最終的な判断はご利用料金の安さでした。
見学時に見ることができた介護職員のサービスに違いがないのであれば価格が安い方が良いと判断されたのです。
これはとても大切なことです。
老人ホームを検討される際、高い=良いサービスと考えるご家族さまがいます。
確かに利用料金の高さは施設の豪華さ、レクリエーションの豪華さ、食事の自由度に関係はしてきます。
※特に食事の原価については大きな差が出ることがあります。
しかし、日々の身体介助に差はほとんどありません。
超高級老人ホームだから他にはない特殊な身体介助をするということはないのです。
料金の高い、安いによって身体介護のケア方針に違いが出ることはありません。
日々のケアに違いがないと感じたのであれば安い施設の方がベストな選択なのです。
ご家族さまはそのことをよく知っていたのです。
全ての作業が滞りなく終了し入居日となりました。
当日は施設までご挨拶に伺いました。
ご家族さまとお母さまにご挨拶をしてその場を去り次のご入居相談に向かいました。
ご入居から約1ヶ月ほどしてご家族さまにご様子伺いのお電話をいたしました。
お母さまは施設に少しづつ慣れてきているとのことでした。
時折、排泄ケア時に強い拒否が見受けられるそうですが介護職員の顔を覚えてきているようでお気に入りの職員がいるようだ、とのお話もいただきました。
大きな問題もなく、食事も毎回全量を召し上がっているとのことから施設での暮らしが落ち着いていると判断しこの事例をクローズといたしました。
利用料金で考える老人ホーム選び
老人ホームは高い、というお話を伺うことがあります。
確かに、10年15年前であれば老人ホームは高いと言わざるを得ませんでした。
※特養は除きます。
何の費用だか分からない一時入居金で1000万円以上も支払い、月額利用料金も30万円以上という施設が多く存在していました。
しかし平成も終わり令和になりサービスは細分化しており、老人ホームの料金も運営会社ごとに大きく変わってきました。
一時入居金をできるだけ少なくすることで入居時の負担をできるだけ軽くするような料金形態を持つ施設も多く出ています。
また、使わなくなった社員寮や学生寮を購入し、建物を流用することで建築コストを下げ利用料金を安くすることに成功した老人ホーム運営会社もあります。
こうした企業努力はなかなか表面に出てきません。
介護の現場で働いている介護士でも運営会社の企業努力まで理解している方は少ないでしょう。
10年以上入居相談を行っている当社は不動産会社などともコネクションを持っています。
そのようなネットワークがあるからこそ、料金設定の本音を知ることが出来るのです。
残念ながら安かろう悪かろうという施設も存在しています。
入った後にそれがわかり3か月と待たずに施設転居したご家族さまもいらっしゃいました。
当社では安かろう悪かろうという施設についてはご紹介をしていません。
そして、そのような情報を数多く持っておりリスト化しています。
ご予算に合わせた施設紹介はもちろんの事、しっかりと入居者さまと向き合っている施設を探すお手伝いをしております。
ご入居相談については無料相談窓口を開設しております。
LINE公式による相談も始めました。
皆さまからのご連絡をお待ちしております。
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