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【上馬】高級老人ホームの転居日、認知症のお母さまからの一言に涙

更新日:6月5日


【上馬】高級老人ホームの転居日、認知症のお母さまからの一言に涙

今回は転居に関するご相談です。それまで入居していた介護付き有料老人ホームの支払いが高く、予定していた年月よりも長くなってしまったことで予算超過となり、やむなく他のホームに転居する必要が出てしまったケースです。

ご家族さまは最長7年と考えていた


ご家族さまは上馬にお住まいでした。ご入居されているのはご主人さまのお母さまで入居当時は84歳でした。


ご家族さまは当初、お母さまが90歳までにはご逝去されるだろうと思われていたのですが89歳になってもお元気であることから今後の予算を考えるともう少し安い施設に転居する必要があるため、施設探しを当社にご相談されました。


当ホームページから土曜日の午後にお電話をいただき翌日、日曜日の13時に上馬のご自宅近くにあるファミリーレストランでお会いすることになりました。


ヒアリングを行ったところ、平均的な寿命、認知症の発症などからお母さまは長くても90歳までにはお亡くなりになるのではないかという予想を立てて施設へのご入居を決定されたそうです。


人間の命というのは正直、本人もわからないことではありますが、施設選びではある程度見込みで予算の見立てなどを考えなければならないのも事実です。


あと頑張っても5年ほどであるならば、できるだけ奮発して良い施設で余生を過ごしてもらいたい、ということで5年前に入居金2000万円の施設へのご入居を決定されたのです。


入居金はお母さまが長年住まわれていた池尻大橋のご実家を売ったお金で賄うことが出来ました。


月々の支払いは家を処分したときの残金、お母さまの受け取られる年金とご家族さまが足りない分を負担することでねん出することが出来ました。


施設に入ってみるとお母さまはそれまでの暗い表情が消え、元気になってゆきました。


面会に行くたびに元気を取り戻していくことにうれしさを感じていたそうです。しかし、施設生活が5年目に突入するとお金の問題が発生してきたのです。


計画と違う!残金が目減りしている


元々、最長でも7年で支払いが終わる計画を立てていたため家を処分した際の残金も7年償却の計算式で成り立っていました。


しかし、このままでは半年も持たずに残金が0円になってしまう事態が発生したことから転居のご相談に至ったのです。


こうしたご相談もまた世田谷区ではよくあることです。


高級老人ホームというのは入居金も高いですが、月額の利用料金もまた高いものです。


平均すれば月額利用料金は25万円~100万円以上という感じでしょうか。


お母さまについては月額の利用料金が35万円で、消耗品などを入れると1か月のお支払いが50万円近くになっていました。


この部分はとても大事なことなのでもう少し丁寧に説明していきます。


施設の月額利用料金というのはお部屋の利用料金と食費を含んだ料金であることが一般的です。


しかし、オムツやリハビリパンツ、パッドや飲み物、洋服などの費用は入っておりません。消耗品については毎月、月額費用とは別に発生します。


オムツやリハパン、パッドなどは施設の売上に直結するため持ち込みをNGとしている施設がほとんどです。


当然ながら施設側で購入する消耗品はスーパーなどで購入するよりも割高の値段設定になりますから月々の支払いも大きくなります。


ご家族さまはご入居時にこの仕組みをよく理解されていませんでした。


月額35万円であれば消費税を考えても39万円でなんとかなると思われていたのです。仮にお母さまが6年、7年長生きしたとしてもなんとかなると考えていました。


しかし実際は毎月の支払額が約50万円になっていたのです。


少しわかりやすく図を入れて説明します。

施設利用年数

35万円/月支払

50万円/月支払

1年目

420万円

600万円

2年目

840万円

1200万円

3年目

1260万円

1800万円

4年目

1680万円

2400万円

5年目

2100万円

3000万円

6年目

2520万円

3600万円

7年目

2940万円

4200万円

6年目で1100万円の差額となり7年目では1260万円の差額となります。

グレーアウトしている箇所は残金が0円になってしまったことを意味します。


グレーの箇所は残金の補助なくお母さまの年金とご家族さまの持ち出しということになります。

ご家族さまの持ち出しについては正確な金額を控えますが、6年目からご家族さまの負担分はそれまでの約2倍近くなってしまったのです。


上馬の施設転居にあたり試算の組み直しをご提案


ご相談をいただきまず相談員としてヒアリングを行いました。それは予算の組み直しです。


ご家族さまからは以下の条件をいただきました。


・お母さまの年金とこれまでの負担額+5万円までの支払いでまとまること

・できるだけ今の施設クオリティと変わらない施設

・場所は世田谷区内であればどこでも良い


この条件に相談員として1つ付け加えを行いました。

それは、お母さまが100歳まで生きたと仮定して条件に変更がなくてもファイナンスに問題が無いか否かです。


幸いにも旦那さまはご自身で会社を運営されており定年制度が無いためこのままいけば10年後でも支払いについて問題ないことが確認できました。


そこで、クオリティを落とさないことを重視した上で予算内にまとめられるような高齢者施設を探すことをプライオリティとしました。


世田谷区には高齢者施設がたくさんありますし、現在でも増加傾向にあります。


これは区民の世帯年収が他の区に比べて高いこと、土地を所有している方が多く高い入居金でも支払いができる土壌があることが挙げられます。


老人ホームはボランティアではありません、れっきとしたビジネスです。


従ってビジネスが好条件で成立する場所にはライバル施設も乗り込んできます。


これはサービスの高クオリティ化を意味します。


世田谷区内で探すということは他の区で探すよりも高クオリティな施設を探しやすく、価格としてもバラツキがあるため予算とクオリティのバランスを取りやすいのです。


探し始めてみると案の定、すぐに条件に見合う施設がぽろぽろと出始めてきました。


その中で当社で知りうる評判や過去のご入居実態などから当該ケースのご家族さまに合うと思われる施設を4つほどピックアップしました。


A施設:小田急線沿線

B施設:田園都市線沿線

C施設:京王線沿線

D施設:田園都市線沿線


ご家族さまは4つすべての施設見学をしたいと希望されましたので4つの施設を予約しました。


2週間で4つの施設を見学する予定でまとまり、やや駆け足になりましたがすべての老人ホームを回りました。


実はC施設については私が一度も訪れたことが無かったので見学前に施設長にご挨拶がてら見に行ってきました。


ご家族さまと同席する場合としない場合、見学で見えてくることが異なることがあるからです。


そして、自分で行ったことが無い施設をどうしてプッシュできますでしょうか。すくなくとも私はそう感じています。


4つの高齢者施設を見学し検証を行う


ご家族さまと回ってきた4施設はどれも会社の特徴が色濃く出ており、メリットがとても分かりやすいものでした。


前回も書きましたが、目に見えるメリットというのは施設のウリになりますからパンフレットにも記載されています。


相談員として気にしていたのはそこで働く介護士の対応や、全体的に流れている雰囲気そして、入居者さまの顔です。


入った後に「間違った!」とならないために必要なことです。


見学が終わったその日のうちにご家族さまの上馬のご自宅で意見交換会をさせていただきました。


すると以下のような評価になりました。


◆奥さまのご意見

A施設:○○

B施設:○○○

C施設:○

D施設:△


◆ご主人さまのご意見

A施設:△

B施設:○○○

C施設:×

D施設:○○


なぜ○×かといえば、この点においてはご家族さまが紙面に載せないでほしいという意向があったからです。


ちなみに私の感想がこちらでした。しかし、それは明らかにしません。最終的に大事なことはご家族さまが決められるべきことだからです。

A施設:○

B施設:○○

C施設:△

D施設:○○○


意見交換会においては質疑形式で行うことを基本としています。ご家族さまでお話をする際、質問があることに対して私が知っていることを回答する形式で後半を進めました。


ご家族さまが質問されたのはパンフレットにのっていないソフト面に関することがほとんどでした。


一般的にはこのような質問をされることが多いです。

・介護士のレベルはどうか?

・料金形態で見落としやひっかけのようなものはあるか?

・営業マンの営業トークにトリックは無いか?

・見学とリアルに乖離がありそうか?


私は当社そして私自身が持っている知識についてはすべてお話しました。


意見交換会は約1時間ほどで終了しましたが結論はその日のうちに出ませんでした。


最終的に入居した老人ホームとは


意見交換会が終了してから1週間ほどしてご主人さまからご連絡をいただきました。


もう一度だけ、ご自宅に来ていただけないかとご希望されたので日程を決めてご挨拶に伺いました。


結論を出す前に1つだけ質問をいただきました。


その質問は私が100%自信をもって言える回答であったためしっかりと回答を行いました。


すると、ご主人さまは、


「D施設でお願いしようと思います。お手続きをお願いできますか」


と、仰られました。


私は、


「ありがとうございます。では先方の施設長に連絡をして契約及び入居決定日の段取りを行います。」


と、お伝えし手続きに取り掛かりました。同時に、現在入居されている施設についての転居手続きなどについてアドバイスいたしました。


転居は1か月ほどで完了しました。


お母さまは認知症を発症してはいますが、住み慣れた施設を離れることをぼんやりと理解しているように思えました。


慣れ親しんだ施設を去る際、施設のスタッフさんで手の空いている方が玄関までご挨拶に来たのです。


その時のお母さまの顔を見たときに、お母さまはこの施設を離れることを理解されているのだ、と感じました。


そして、お母さまは私の顔を見て、


「色々とお世話になりました。ありがとうございます。」


と、仰られたのです。私はその瞬間、涙がこみ上げてしまいました。介護士として施設で働いている時、同じような経験をしたことを思い出してしまったからです。


この仕事をしていると人間の強さを感じることがあります。認知症が進行していてもある一瞬、何かが起こったようにすべてが合致することがあります。


お母さまに深々と頭を下げ、


「いえ、こちらこそ勉強させていただきました。ありがとうございます。」


と告げるのが精いっぱいでした。おそらくは涙声だったと思います。


長いこと相談員として施設紹介のお仕事をしていますが、本当にこの仕事は奥が深く、そして常に勉強なのだと思います。


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